(ブルームバーグ):米上院の有力議員が、暗号資産(仮想通貨)交換業者バイナンス・ホールディングスについて調査を開始した。報道によれば、同社はテロ組織に指定されているイラン政府系グループに約20億ドル(約3100億円)を流すことに関与し、ロシア産原油を巡る米国の制裁の回避を支援したとされている。
バイナンスの共同最高経営責任者(CEO)リチャード・テン氏に宛てた24日付の書簡で、上院常設調査小委員会のブルーメンソル民主党筆頭理事は、疑惑の取引およびそれを発見したコンプライアンス担当者の解雇が報じられた件について、バイナンスに情報および記録の提出を求めると記した。

同氏は書簡の中で、「新たに明らかになった違法送金の規模――制裁対象団体に約20億ドルが流入するまで発覚しなかった事実――および内部調査担当者の説明のない解雇は、米政府による制裁および銀行関連の法令を、バイナンスが順守しているかどうかに疑問を投げかけている」と述べた。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は23日、イランが支援するテロ組織の資金ネットワークにバイナンス経由で最近渡った10億ドルを巡り、同社が社内調査を打ち切ったと報じた。ニューヨーク・タイムズは同日、バイナンスの社内調査の結果、イラン国内の人物が同社プラットフォーム上の1500を超える口座にアクセスしていたこと、さらにバイナンスの2つの口座からテロ組織と関係のあるイランの団体に約17億ドルが流れていたことが明らかになったと報じた。
フォーチュン誌は13日、イラン制裁違反の証拠を発見したと主張する上級調査担当者をバイナンスが解雇したと報じた。バイナンスは各メディアに対し、不正行為はなかったと否定している。
バイナンスの広報担当者は、報道で指摘された内容は事実ではないとコメントした。
バイナンスは発表資料で、「疑わしい活動は検知し、報告している。これは当社の管理体制が機能している証拠だ」と説明。厳格な「本人確認」およびコンプライアンス手続きを導入しており、運営している「プラットフォームにイラン人ユーザーはいない」と付け加えた。
ブルーメンソル氏は書簡の中で最近の報道に言及し、バイナンスの業績はトランプ政権下で改善していると指摘。トランプ大統領は2025年10月、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を怠った罪で4カ月間服役したバイナンス共同創業者の趙長鵬(チャンポン・ジャオ)元CEOに恩赦を与えた。
また、バイナンスは23年11月に、マネーロンダリング防止法違反に加え、イスラム組織ハマスや他のテロリスト集団との取引を容認するなど、米制裁に違反した罪を認め、43億ドルの罰金支払いに同意した。
さらに最近では、バイナンスはトランプ一族のメンバーと、政権の対ロシア交渉などを担うウィトコフ特使の家族が所有する暗号資産ベンチャー、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」を支援し、同社のステーブルコイン「USD1」のコード開発に協力した。ブルーメンソル氏によると、USD1の約85%はバイナンスの口座に保有されている。
23年のCEO退任後もバイナンスの筆頭株主である趙氏は、バイナンスが創設したブロックチェーン「BNBチェーン」内のチームが「ごく通常の」技術支援をUSD1に提供したと述べている。
原題:Senator Opens Binance Probe Into Alleged Iran, Russia Violations(抜粋)
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