日本企業の昨年10-12月期決算では、人工知能(AI)ブームを支える半導体製造装置などハードウエア関連企業の好調が目立った。米テクノロジー大手の巨額の設備投資が業界を潤しており、投資家の間でも強気の見方がなお多い。

米エヌビディアのAI向けチップ

AI投資を巡っては昨年終盤に過剰感や収益化の遅れが不安視され、関連銘柄の株価は一時的に調整した。しかし、データセンター建設などの需要は依然旺盛なほか、米アンソロピックなどAIスタートアップの技術がソフトウエアにとっては脅威になり始める中、相対的にハードウエアに対する安心感が広がっている。

ティー・ロウ・プライス・ジャパンでアソシエイト・ポートフォリオ・マネージャーを務めるデイビッド・クルウェル氏は、世界規模で巨大なデータセンターを運営する「ハイパースケーラーの設備投資は前年比ベースでは減速が見込まれるが、今後も上昇基調にあることに変わりはない」と指摘し、「AIインフラ関連企業の業績改善は今後も続く」との見方を示す。

ブルームバーグ日本半導体セレクト25指数を構成する企業の12カ月先予想1株純利益(EPS)は前四半期末と比べ39%増。四半期の改善幅としては、データをさかのぼることができる2015年以降で最大だ。純利益の上振れをけん引するのはメモリーのキオクシアホールディングスや検査装置のアドバンテスト、研削・研磨装置のディスコなど。同指数は年初来で34%上昇している。

BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストも直近の決算シーズンを「ガイダンスを上方修正した企業の株価の反応が大きく、特に予想が改善したAI関連企業でその傾向が顕著だった」と振り返る。

半導体関連と並び好業績が顕著だったのがAI関連の素材メーカーを含む非鉄金属。東京証券取引所33業種の非鉄金属指数の予想EPSも前四半期末比で8.8%増と東証株価指数(TOPIX)の3.6%増を上回る。

データセンター向け光ファイバーの需要増が期待されている古河電気工業やAIサーバー向けの銅箔が好調の三井金属、スパッタリングターゲットなど半導体材料が伸びているJX金属などが好決算を発表し、株価が急伸。銅価格など金属価格の高騰も非鉄セクターの業績拡大の背景にある。

東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネジャーは、半導体や非鉄などのAI関連株について「数量面での成長が注目されることが多いが、メモリーなど一部商品は需給逼迫(ひっぱく)で値上げが通りやすいなど価格面でのプラスアルファも業績のドライバーになる」と分析。引き続き株価には強い追い風が吹くと予想している。

AIハードウエア関連株に対する強気の見方はほぼ市場コンセンサスとなり、ポジション偏重による調整リスクがゼロではない。25日に発表されるAI向け半導体で世界最大手のエヌビディアの決算は、死角の有無を探る上で投資家にとって重要な分岐点になる可能性が高い。

もっとも、米大手テクノロジー企業の設備投資額が四半期ベースで1200億ドル(約18兆6000億円)と数年前の3倍近い水準に達した今、AIハードウエア関連企業が恩恵を受ける最前線にいることは確かだ。AI代替の恐怖が広がるソフトウエア株、米国の関税・通商政策の不透明感が強い輸出株、インフレによる消費悪化が警戒される内需株と比べても取り巻く環境は明るい。

三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、コーポレートガバナンス(企業統治)改善への期待などで銘柄を選ぶ他の投資戦略は「AI関連をシンプルに買うのに比べ、難易度が上がってしまう」と指摘。AI関連が集中物色される相場は健全ではないとしつつ、当面はAI関連の優位が続くとみている。

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