家賃の値上がりが東京主導で全国的に広がる兆しを見せている。全国ベースでの民営家賃の上昇率は1月に約28年ぶりの高水準に達した。

総務省が20日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI)で、民営家賃は前年同月比0.7%上昇と前月の0.6%上昇から伸びが拡大し、1998年3月の0.8%上昇以来の高水準となった。同省によると、都区部の影響が大きいが、他県でも上昇が見られるという。

東京・晴海のマンション

先月発表された1月の東京都区部CPIでは、民営家賃は2.1%上昇と94年2月以来の高い伸びとなっていた。持ち家に住む人も家賃を払っているとみなす帰属家賃を含めた家賃は1.5%上昇と、94年10月以来の高い伸びだった。

日本銀行は昨年12月の金融政策決定会合で30年ぶり水準の0.75%に利上げした後も、政策正常化路線を維持している。持ち家の帰属家賃を含めると、家賃のウエートはCPI全体の2割近くを占める。基調的な物価にも影響する家賃の動向は、2%の物価安定目標の達成にも影響を与えそうだ。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、長引くインフレに対応して家賃を引き上げる動きが出ており、「それが物価の基調を押し上げている」と説明。その上で、「家賃の伸び率は、2%物価安定目標の達成において重要になる」との見方を示した。

消費者物価指数の構成品目のうち、家賃は長年にわたり価格変動が小さく、「岩盤品目」と見なされてきた。しかし、住宅価格の上昇などを背景に、2024年以降は東京都区部が先行する形で上昇率が高まっている。

1月の日銀会合の「主な意見」によると、1人の政策委員が最近の都市部を中心とした家賃上昇に言及した。海外のインフレや円安による資材価格上昇、人件費上昇が住宅価格を押し上げ、賃貸需要の増加も影響していると指摘。「家計の生活実感と消費行動に与える影響が大きい項目であり、動向を注視している」とした。

みずほ証券の片木亮介マーケットエコノミストは、大都市以外でも家賃上昇の動きが緩やかながら広がっているとし、「一概に東京に限った現象と片付けることもできない」と指摘。その上で、「過度の警戒感は不要だとは思うが、ウエートも大きいので、少しずつインフレを押し上げる方向に寄与してくる」とみている。

--取材協力:伊藤純夫.

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