(ブルームバーグ):20日の日本市場は株式が急反落。イラン情勢を巡る地政学リスクに加え、企業に直接融資する米国のプライベートクレジット市場への懸念から幅広い業種が売られた。債券は上昇(金利は低下)し、円は対ドルで155円台前半へ下落。
トランプ米大統領は核開発問題でイランに合意を迫り、「最大で10日から15日」との期限を示した。米軍は中東に2隻の空母や戦闘機、給油タンカーなど大規模な戦力を配備し、攻撃の選択肢を確保している。
オルタナティブ資産運用会社の米ブルー・アウル・キャピタルは個人投資家向けのプライベートクレジットファンド1本について解約を制限すると発表。1兆8000億ドル(約278兆円)規模に膨らんだ同市場の行方が懸念されている。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、イラン情勢の緊迫化に加え、米プライベートクレジット市場を巡る不透明感が強まっていることなども相場の重しになっていると指摘した。
高市早苗首相は20日午後に開かれた衆院本会議の施政方針演説で、自らが掲げる「責任ある積極財政」の下、国内投資の促進策などを実行することで経済成長を後押しすると宣言。国内投資は「圧倒的に足りない」とし、成長のスイッチを押し続けると決意を表明した。
富国生命保険の佐藤篤有価証券部長は、今後数カ月は高市政権の政策を見極める展開になると予想する。「政策が具体的になるにつれてどうしても財政拡張的な形にならざるを得ないと思っている」とし、債券市場で財政懸念が再び強まると株式市場も含めボラティリティーが上がるリスクがあるとも語った。
株式
東京株式相場は急反落し、日経平均の下げ幅は一時800円近くに達した。イラン情勢や米直接融資市場への懸念に加え、主要株価指数が過去最高値付近で推移していたことから3連休を前に売り圧力が強まった。
33業種は証券や銀行など金融セクター、電気・ガスや陸運など内需セクターを中心に輸送用機器、空運、米軍基地への侵入で社員が逮捕された住友商事を含む卸売などが下落。上昇は非鉄金属や医薬品など4業種にとどまった。株式投資家の恐怖心理を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)は30台へ上昇した。
ATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリストであるニック・トウィデール氏は、イラン情勢についてトランプ氏が交渉戦術として利用しているように感じられるが、当然事態が悪化する可能性はあり、投資家は懸念を抱いていると話した。
債券
債券相場は上昇。取引開始前に発表された1月の全国消費者物価指数(CPI)でインフレの減速が確認され、日本銀行の早期利上げ観測が後退し、買いが優勢となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは「物価の下振れに加え、日本株が大きく下がったことが買い手掛かり」と分析。国内総生産(GDP)など「今週発表された経済統計が弱めだったことや選挙後の金利上昇に向けて売りで構えていた向きが買い戻している」とも見ていた。
日本証券業協会が20日に発表した統計によると、1月の海外投資家による日本国債の買越額は統計がさかのぼれる2004年以降で2番目の高水準となった。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは「高市政権が野放図な財政拡張はしないとの思惑からの買いも入り、日本国債のアンダーウエートを埋める動きが続いている」と言う。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
東京外国為替市場の円相場は対ドルで155円台前半に下落。米経済指標が強い内容となり、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ期待が後退しているほか、1月の全国CPIの伸びが予想通り鈍化したことが円のマイナス材料となった。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、全国CPIのヘッドラインの弱さを受けドルが買われたとの認識を示した。
三井住友信託銀行ニューヨークグローバルマーケッツ部の山本威調査役も、ドル・円は良好な米雇用指標と利上げ観測、イラン情勢の不安定化を背景に急ピッチで上昇してきたと言及。ただし、155円の節目に来て上値は重くなりやすく、財政への懸念が払拭されていないと話した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:Anand Krishnamoorthy、アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.