19日の米株式相場は反落。イラン情勢を受けた地政学的懸念の高まりが重しとなった。原油相場は続伸した。

市場には警戒ムードが広がった。小売り最大手の米ウォルマートは下落。同社は市場予想を下回る慎重な通期利益見通しを示した。

トランプ米大統領は、米国がイランとの間で「意味のある合意」を結ぶ必要があると発言。「今後10日ほどで、その答えがわかるだろう」と語った。娘婿のジャレッド・クシュナー氏が「平和の特使」になるとも述べた。

戦争が勃発した場合、世界の原油供給の約3分の1を担う中東地域で流通が脅かされる可能性がある。

ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトーマス・リー氏によれば、中東で軍事攻撃が行われる可能性が高まっていることで、短期的なリスク選好が損なわれている。

オルタナティブ資産運用会社の米ブルー・アウル・キャピタルが、個人投資家向けのプライベートクレジットファンド1本について解約を制限すると発表したことも、投資家心理を冷やした。

ブルー・アウル株は一時10%安。同業のアポロ・グローバル・マネジメントやアレス・マネジメント、TPGも下げた。

昨年10-12月(第4四半期)の米国内総生産(GDP)速報値や、12月の個人消費支出(PCE)・個人所得が20日に発表されるのを前に、リスクオフムードが広がったとの声も聞かれた。

モンティス・ファイナンシャルのデニス・フォルマー氏はイランについて、軍事力を持つ代理勢力は大きく弱体化し、経済は危機にあるため、交渉における立場は必ずしも強くないと分析。

そのため市場は外交的解決を見込んでいる可能性が高いとし、「現時点で株式市場は米国とイランの緊張を織り込んでいない。それは適切だと思える」と述べた。

イラン情勢が株式市場にとって脅威となるのは、重要な航路であるホルムズ海峡が封鎖される場合だが、フォルマー氏は「そのリスクは低い」と話す。その理由として、同地域に集結する米軍の戦力や、イランが同海峡を通じて原油を輸出する必要性を挙げた。

「外交的解決の可能性や、実際に軍事衝突が起きたとしてもそこから生じる相場変動は限定的となる可能性が高いことを踏まえると、ポートフォリオを変更する必要はない」と同氏は述べた。

この日発表された米経済指標では、先週の新規失業保険申請件数が昨年11月以来の大幅減少となり、労働市場が安定しつつあることを示した。 1月の中古住宅販売成約指数は前月に続いて低下した。住宅ローン金利が低下し、物件価格が伸び悩んだものの、購入意欲は高まらなかった。

貿易統計では2025年通年の対中赤字が大幅に縮小し、過去20年余りで最少。トランプ政権が中国製品への関税を引き上げたことを反映している。一方、対メキシコやベトナムの貿易赤字は過去最大に膨らんだ。

外為

外国為替市場ではドル指数が4日続伸。1月9日までの上昇局面と並ぶ長期連続高となった。

米新規失業保険申請件数が大幅に減少したほか、2月のフィラデルフィア連銀製造業指数で6カ月先の景況見通しが大幅に改善したことが材料となった。

一方、昨年12月の米貿易赤字は前月比で拡大した。

クレディ・アグリコルのG10為替調査・戦略責任者、ヴァレンティン・マリノフ氏は「この日発表された米経済指標は、やや強弱入り交じる内容だった」と述べた。

貿易赤字の拡大が示されたことについては「20日に第4四半期GDP速報値の発表を控え、一定の下振れリスクになり得る」と指摘。

その上で、「私は連邦準備制度理事会(FRB)がハト派的になるとの市場の期待は行き過ぎだと考えている。米金利市場ではそうした期待が引き続き後退しているため、ドルは引き続き底堅く推移する可能性がある」と話した。

地政学的リスクも意識された。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシアとイランの両国海軍による合同演習が計画されており、それは中東で緊張が高まる前から合意されていたものだと述べた。インタファクス通信が伝えた。

円は対ドルで小幅安。ニューヨーク時間帯は155円20銭台に下落し、その後、154円80銭台に下げを縮小するなど、比較的狭いレンジでの推移となった。

米国債

米国債市場では地政学的緊張の高まりやインフレ見通しへの懸念が続く中で、中・長期債が買われる展開。10年債利回りは3日ぶりに低下した。

10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、4.07%。一方、金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは小幅に上昇し、3.46%近辺となった。

トランプ大統領はイランの核開発を巡る交渉に関して、合意までの猶予期間は最大でも10-15日ほどだと述べた。米国債相場はこの発言が伝わった後に下げを埋めた。

ナティクシスの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は「午後の小幅な相場上昇は、イランに関して、合意がなければ深刻な事態になるとしたトランプ氏の発言を受けたもののようだ」と指摘。

この日実施された30年物インフレ連動債(TIPS)入札が堅調な需要を集めたことも、上昇を後押ししたと付け加えた。

ノースライト・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、クリス・ザッカレリ氏は、「FRB内での大きな論点は、雇用市場を支えるために積極的に利下げを行うか、あるいはインフレと闘うために政策金利をより長期に高水準で維持するかどうかだ」と指摘。

20日に発表される経済指標が「インフレ動向に新たな視点を提供し、この議論が深まることになろう」と述べた。

原油

ニューヨーク原油先物相場は続伸し、昨年8月以来の高値で引けた。米国とイランが新たな軍事衝突に近づいているとの懸念が背景にある。

米軍は中東に大規模な戦力を展開している。トランプ大統領は、イランが核開発計画を巡る合意をまとめるために残された時間は最大でも10-15日間だと述べた。こうした戦力配備は、イラク侵攻に先立ち兵力を集結させた2003年以来、例を見ない規模だ。

衝突が現実となれば、中東原油輸出の要衝であるホルムズ海峡での輸送が脅かされる可能性がある。原油価格の大幅上昇がガソリンの値上がりにつながれば、トランプ大統領は中間選挙を前に有権者の反発を招くリスクがある。

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、中東地域における米軍の戦力増強を受け、イランが核問題を巡り外交で合意に達するための時間的猶予はなくなりつつあるとの見解を示した。IAEAは昨年イスラエルと米国が爆撃した施設の査察について、イラン側と具体的な提案を協議している。

ヘリマ・クロフト氏らRBCキャピタル・マーケッツのアナリストは「主要な対立点がいまだに解消されておらず、再び軍事衝突が起きる可能性は高まり続けている」とリポートで指摘。「中東における大規模な米軍装備増強や、イランが最近実行したホルムズ海峡での軍事演習は、第2の軍事衝突が始まる段階に入ったことを示唆しているようだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比1.24ドル(1.9%)高の1バレル=66.43ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は1.31ドル(1.9%)上昇し71.66ドル。

金スポット相場は小幅高。1オンス=5000ドル近辺で推移した。市場では地政学リスクの再燃や、米政策金利を巡る連邦公開市場委員会(FOMC)の次の動きが意識されている。

トランプ大統領はイランが米国と「意味のある合意」を結ばなければならないと述べ、今後10日間が合意の成否を左右すると付け加えた。双方の当局者が「良い協議」を行っているとしつつ、イランは現在「火種になっている」と指摘。娘婿のジャレッド・クシュナー氏が「平和の特使」になるとも語った。

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、中東地域における米軍の戦力増強を受け、イランが核問題を巡り外交で合意に達するための時間的猶予はなくなりつつあるとの見解を示した。

市場は米金利の行方にも目を向けている。18日に公表されたFOMC議事要旨(1月27、28日会合分)によると、一部の当局者は近い将来の追加利下げに慎重な姿勢を示していた。

こうした状況は、金融当局とトランプ大統領との対立を深める可能性があり、トランプ氏が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に推すウォーシュ元FRB理事の立場を難しくする恐れがある。トランプ氏は公に利下げを要求しており、その通りの利下げとなれば、利回りが付かない金投資にとっては追い風となる。

金スポット価格はニューヨーク時間午後2時16分現在、前日比9.43ドル(約0.2%)高の1オンス=4986.99ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は12.10ドル(0.2%)安の4997.40ドルで引けた。

原題:Stocks Decline as US-Iran Risks Spur Rally in Oil: Markets Wrap

Dollar Extends Rally After Strong Claims Data: Inside G-10

Treasuries Edge Higher on Haven Demand Amid Geopolitical Risks

Oil Rises to Highest Since August on Iran Conflict Concerns

Gold Wavers Near $5,000 as Traders Assess Geopolitics, Fed Rate(抜粋)

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