(ブルームバーグ):米人工知能(AI)スタートアップのアンソロピックや非公開の新興テック企業アルトゥリストによる新型AIモデルの登場は、関連業界を揺さぶった。ウォール街は、AIがもたらす生産性向上が具体的にどこで収益貢献につながるのか、その所在を見極めようとしている。
だが、市場の予測によれば、一部のテック有力銘柄が享受してきた恩恵が波及する範囲は限定的だ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによると、マイクロソフトやアルファベットなど「マグニフィセント・セブン」の2026年利益成長率予想は18%と、5月の関税懸念に伴う売り一巡後の14%から引き上げられた。対照的に、S&P500種株価指数構成銘柄の残り493社では12.5%から11%に下方修正された。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トーステン・スロック氏はリポートで、市場コンセンサスでは「テック分野以外の米企業でAIが収益性を改善するとは見込まれていない」と指摘。「テック分野以外の企業でAIが利益率を押し上げている兆候はない」と述べた。

BIのデータによれば、テック分野を除いたS&P500構成銘柄の今年の利益成長率は7.7%と、全体の予想(14%)の約半分にとどまる。
シティグループ・グローバル・マーケッツは、AIによる生産性主導の成長を期待できる対象として、S&P500に組み入れられていない中小型の「AIイネーブラー(インフラ提供者)」を挙げる。シティによると、同グループの利益予想は過去9カ月で13%上方修正され、大型株の12%を上回った。
シティグループ・グローバル・マーケッツの米国株ストラテジスト、ドリュー・ペティット氏は、成長の裾野が時価総額の小さい銘柄へ広がっている点が「隠れたストーリーだ」と述べた。
足元でのAIイネーブラーの成長は、テック大手による巨額の設備投資による直接的な成果だ。
シティの中小型AIイネーブラー株バスケットに含まれるコヒレントやピュア・ストレージ、ルメンタム・ホールディングスなどの株価は年初から上昇。ルメンタムは年初来で63%高となっている。
同様に発電機のジェネラック・ホールディングスや空調のコンフォート・システムズUSAも最高値を更新した。データセンター建設に伴うバックアップ電源や冷却システムへの需要が背景にある。
BIのアナリスト、マイケル・キャスパー氏は、公益や資本財セクターの多くが、AI分野の大規模事業者「ハイパースケーラー」の設備増強から恩恵を受けるとみる。
テック大手がデータセンター建設や電力確保に数千億ドルを投じる中、26年の公益と資本財セクターの利益成長率はそれぞれ7.7%と11%が見込まれている。もっとも、情報技術(IT)セクターの成長率見通し(32%)とは開きがある。
キャスパー氏は、これらのセクターの利益成長は他社の設備投資に支えられたもので「AIによる生産性や利益率の向上ではない」と指摘している。
原題:AI Impact on Corporate Growth Seen as Limited Outside Big Tech(抜粋)
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