米連邦準備制度理事会(FRB)の一部当局者はここ数日、人工知能(AI)による生産性向上が金利上昇につながる可能性を示唆し始めている。この見解は、トランプ政権およびFRBの次期議長候補との対立を招くものとなる。

バー理事は17日、ニューヨークでの講演原稿で「AIブームが政策金利引き下げの理由になる可能性は低いと見込んでいる」と述べた。

バー氏の発言は、ジェファーソン副議長が6日の講演で「他の条件が一定であれば、生産性成長率の持続的な上昇は、少なくとも一時的には中立金利の上昇につながる可能性が高い」と主張したのに続くものだ。

トランプ米大統領が利下げを求めてFRBに圧力をかけ続ける中、AIによる生産性の向上は今年、金利を巡る議論において重要性を増す公算が大きい。連邦公開市場委員会(FOMC)は2025年に政策金利を3回引き下げたが、直近1月の会合では据え置いた。先物市場によると、年央までの追加利下げは織り込まれていない。

Photographer: 写真:Ore Huiying/Bloomberg

パウエルFRB議長の任期は5月に満了し、トランプ氏は後任にウォーシュ元理事を指名している。ウォーシュ氏は政権当局者と足並みをそろえ、AIが生産性の急拡大をもたらし、インフレを伴わない成長を可能にし、それに伴い金利も低下すると主張している。

ところが、バー氏は17日の講演で、そうならない可能性がある理由を幾つか示した。

「この技術を活用するために必要な強力な企業投資により資本需要が高まり、金利に上昇圧力がかかるだろう」とバー氏は述べた。「また、実質賃金の力強い伸びや生涯所得の増加への期待から家計貯蓄が減少する可能性があり、これも金利に上昇圧力をもたらす」と語った。

FOMCは過去1年半で計1.75ポイント利下げしたが、22-23年には5ポイント超の利上げを実施していた。現在の政策金利は3.5-3.75%のレンジにある。複数の当局者はこれを経済にとって過熱も冷ましもしない中立に近い水準とみており、利下げを減速または停止する理由として挙げている。

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は17日、カリフォルニア州サンノゼでのイベント後に記者団に対し、AIによる生産性の加速は「標準的なモデル」では中立金利の上昇を示唆すると述べた。なぜなら「貯蓄の供給に対して投資需要が増加する」からだという。

一方で、同総裁は分析が決して明確なものではないとも指摘した。

「中立金利をやや押し上げるかもしれない」と述べた上で、「中立金利への影響についてわれわれがどう考えるかについては、もう少し謙虚である必要がある」と付け加えた。

原題:Fed Officials Say AI Productivity Boost Could Raise Neutral Rate(抜粋)

--取材協力:Jonnelle Marte、Augusta Saraiva.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.