人工知能(AI)の影響が懸念される銀行ローンを、CLO(ローン担保証券)運用会社が相次いで売りに出す一方で、1年以上にわたり低マージンに甘んじてきた市場では、利益を上げる好機を逃すまいと買い手の姿も見え始めた。

事情に詳しい複数の関係者によると、カーライル・グループやブラックロック、ベネフィット・ストリート・パートナーズ、オーク・ヒル・アドバイザーズがそろってこうした債権を買い上げている。新たなCLOを組成するための準備だという。

機動力のあるCLO運用担当者らが買いを入れているのは、ソフトウエアや保険、資産運用、不動産の企業に関連したローン債権だ。これにより、負債側では同じクーポンを支払いながら、資産側では実効利回りを高めることが可能となる。CLO市場全体の収益性を示す指標であるエクイティアービトラージはその結果、少なくとも帳簿上では拡大している。

エルドリッジ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アンドルー・ウォード氏は「AI関連ニュースに対する市場の反応は、ソフトウエアなど関連セクターへの無差別な売りだ」と指摘。「当社では売り圧力を好機と捉え、確信度の高い銘柄を選別し、ポートフォリオ全体の質を高める時だと考えている」と語った。

ブルームバーグの集計によると、米ソフトウエア企業に対する銀行ローンの価格は、1月の高値から約4ポイント、欧州の場合は約3ポイント下落した。新たなAI自動化ツールの台頭が市場に揺さぶりをかけた影響だ。

エリントン・マネジメント・グループの企業クレジット責任者グレッグ・ボーレンスティン氏も「質の高い企業までセクター内の弱い企業に合わせて、『湯とともに赤子を流す』式の無差別売りを浴びているのが、ソフトウエア関連の近況だ」と語る。

CLO債券価格の下落はローン債権よりも小幅で、エクイティアービトラージは拡大している。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のデータによれば、CLOエクイティ投資家への分配はこの1カ月で10%急増した。

一方、現在の混乱は「解放の日」関税が発表された昨年ほど大きくない。カーライルなどが積極的にローンを買い上げているものの、市場のゆがみは「print and sprint(発行と同時に走れ)」を促すほどではない。

もっとも、大半の運用者は依然としてソフトウエア業界へのエクスポージャー削減を優先しており、額面1ドルに対して約90セントを割っているローンはリスクが高過ぎるとみている。

パートナーズ・グループの欧州CLO責任者、ジョージー・マッツキエロ氏は「AIの到来でコーディングは容易になり、参入障壁は下がったが、だからといって全ての企業が破滅するわけではない」と述べた。

CLOは本来、セクター集中リスクがある程度抑制されているものの、ポートフォリオに占めるソフトウエアローンの比率は世界的に10%〜15%だ。こうしたローンの格付けは投資不適格級に近いものが多いと、モルガン・スタンレーは指摘した。

新型コロナ禍のゼロ金利期に高いレバレッジで発行された債券が、今では金利の高止まりと先行きの不透明感に影響を受け、今後3年で大量の満期が到来する。

パインブリッジ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ダン・シェリー氏は今こそ割安ローンを取得する機会があるが、それがいつまで続くかは不透明だと述べた。

「多くの急落は時間とともに行き過ぎだったと判明するだろうが、今それを先回りするのは難しい」と同氏は語った。

原題:Carlyle, BlackRock Buy Cheap Software Loans to Boost CLO Profits(抜粋)

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