(ブルームバーグ):元日本銀行審議委員の安達誠司氏は、日銀が基調的な物価上昇率2%程度への到達を確認したと判断すれば、4月の金融政策決定会合で1.0%への追加利上げを決める可能性があるとの見解を示した。16日にインタビューした。
安達氏は、予想インフレ率を中心とした基調的物価上昇率は自身の試算で1.8%程度まで上昇していると指摘。「早ければ4月会合で目標の2%程度にほぼ達したことを確認し、日銀は1.0%程度に利上げする」と語った。4月会合では、日銀短観や生活意識に関するアンケート調査などで企業と家計の予想インフレ率が把握できるとしている。
その後も物価の大きな下押しがなければ、持続的・安定的な2%が確認されたとして1.25%程度への利上げが行われ、この水準がターミナルレート(政策金利の最終到達点)になる可能性があるという。それ以降は実際の物価変動に応じて政策調整が行われる「正常な金融政策の出発点に戻り、デフレ対応は終了となるだろう」と述べた。
日銀は昨年12月の会合で政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%程度に引き上げた。経済・物価情勢が日銀の見通しに沿って推移すれば、利上げを継続していく姿勢を明確にしている。金利スワップ市場では、次の利上げのタイミングの予想は4月までが70%程度、6月まではほぼ100%となっており、安達氏の見立ては市場予想に近い。
次回会合は3月18、19日に行われ、市場の利上げ予想は18%程度となっている。3月会合で政策金利の引き上げに踏み切る場合、今年の春闘など賃上げの強さが根拠になり得る。もっとも、安達氏は同様の理由で昨年12月に利上げを決めたばかりだとし、政治的なリスクを含めて3月は難しいとみている。
高市政権
衆院選での自民党圧勝を受けた高市早苗政権の金融政策に対する姿勢も、今後の日銀の政策正常化路線に影響を及ぼす可能性がある。高市氏は首相就任前に利上げに否定的な見解を示すなど、基本的には金融緩和重視とみられているためだ。
安達氏は、高市首相は物価上昇につながる円安進行など市場動向を気にしているとみており、2%の物価安定目標の実現を目指して慎重に進めている段階では、利上げを「許容するだろう」と述べた。一方、日本経済の成長率が高まらない状況が続く公算が大きい中で、金融政策が正常化した後はけん制が強まりやすいとの見方も示した。
高市首相は、衆院選で訴えた飲食料品の消費税率ゼロの実現に向け、超党派の国民会議で議論を開始し、夏前には中間取りまとめを行う考えだ。飲食料品に限った2年限定の措置でもあり、消費税率が下がった分を全ての企業が価格に反映させるか疑問だと安達氏は指摘。「経済浮揚、消費拡大の効果は、ほぼないと思う」と語った。
日本銀行の植田和男総裁は16日、高市首相と2度目の会談を行った。植田総裁は一般的な経済金融情勢の意見交換だったとし、首相から政策について要望は特になかったと述べた。いろいろな話をしたとしながらも、具体的な内容は控えると明言を避けた。
政府は近く、日銀の政策委員会メンバーのうち3月31日に任期満了を迎える野口旭審議委員と6月29日が任期の中川順子審議委員の後任人事案を衆参両院に提示する見通しだ。高市首相は経済財政諮問会議の民間議員などに金融緩和と積極財政を重視するリフレ派を登用しており、初の日銀人事にも注目が集まっている。
安達氏は、リフレ派からの選考となれば、円安や長期金利上昇が再燃する可能性があるとみる。「円安の進行や長期金利の上昇を本気で止めようと思うのであれば、リフレ派は登用しない方がいい」と述べた。
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