陶酔感が広がるクレジット市場で、特定の債務に対しては不安が高まっている。

独り負けに追い込まれているのはソフトウエア企業だ。足元でレバレッジ・ローンの価格が大きく下がっている。人工知能(AI)新興企業アンソロピックが開発した「クロード(Claude)」のコーディング能力向上など、AIの高度化で多くのソフトウエア製品やサービスが時代遅れになるのではとの見方が投資家の間で広がっているためだ。

クラウデラに紐付くローン価格は額面1ドル当たり7セント下落。デイフォースやロケット・ソフトウエア向けのローンも値下がりした。他の借り手も新たな債務の発行に苦戦している。

オブラ・キャピタルの米国レバレッジド・ファイナンス責任者、スコット・マクリン氏は「ローン市場に嵐が襲来した」と述べた。「ローン市場最大のセクターであるソフトウエアの事業モデルがAIの影響で存続し得るのかとの疑問が高まっていたことろに、過密な発行スケジュールが重なった」と指摘。また競合入札募集(BWIC)が異例に多く、ローン市場が大混乱したという。

ソフトウエアはレバレッジド・ローン市場の中核を成しており、ブルームバーグ米国レバレッジド・ローン指数に組み入れられているクレジットの12%を占める。ノムラがまとめたデータによると、レバレッジド・ローンを裏付けとする債券である担保付ローン債務(CLO)に組み込まれたソフトウエア関連債務は、今年に入り全セクターの中で最悪のトータルリターンとなっている。

 

ソフトウエア関連ローンの売りは、レバレッジド・ローン市場全般の動きとは対照的だ。トランプ米大統領がグリーンランドを巡る欧州諸国への関税発動を撤回し、緊張が和らいだことで企業の発行意欲が改善。欧州では、レバレッジド・ローンの週間発行額が過去最高を更新した。

ソフトウエア企業の社債も打撃を受けた。クラウドコンピューティング企業のラックスペース・テクノロジー・グローバルや、自動車ディーラー向けにソフトウエアを提供するCDKグローバルの社債価格が軒並み下落した。社債市場では2月、データセンター建設などAI関連プロジェクトを手当てするための起債が相次ぐ見通しで、米国の社債発行額は過去最高を記録するとみられている。

デイフォース、クラウデラ、ロケット、CDKの各社は現時点でコメント要請に応じていない。ラックスペースはコメントを控えた。

バンク・オブ・アメリカのCLO・住宅ローン担保証券(RMBS)調査責任者、プラティク・グプタ氏は「ソフトウエアへの売りは、AIの影響を受けない可能性が高い企業にまで及んだ」と語った。

最も懸念されているのは、AIの進化によって企業や個人が独自のカスタムソフトウエアを構築しやすくなり、既製のソフトウエア製品やサービスへの需要が減少するシナリオだ。アンソロピックは先頃、アプリの構築やスプレッドシートの作成といった作業を代行できる製品「Claude Cowork」を投入した。正式な訓練を受けていない人でもクロードを使えば容易にコーディングができると伝えられている。

原題:AI Boom Is Triggering Software ‘Loan-Ageddon’: Credit Weekly(抜粋)

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