(ブルームバーグ):トランプ米政権は、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事をトランプ大統領が指名する方向で準備を進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者は未公表の人事案件であることを理由に匿名で語ったもので、トランプ氏が正式に発表するまでは人選は最終決定ではないと注意を促した。

関係者の1人は、ウォーシュ氏(55)が29日、トランプ氏と会うためにホワイトハウスを訪れたと明らかにした。ホワイトハウスとウォーシュ氏にコメントを要請したが、これまでのところ返答は得られていない。
トランプ氏は29日、5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任指名の人事を30日午前に発表すると発言。具体的な名前は明かさなかったものの、それほど意外ではなく、金融界では誰もが知る人物になるとし、「数年前にその職に就いていてもおかしくなかったと、多くの人々が考えるような人物だ」とも語っていた。
次期議長の選考プロセスはベッセント財務長官が主導。ウォーシュ氏と、米資産運用大手ブラックロックのグローバル債券担当のリック・リーダー最高投資責任者(CIO)、ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長、ウォラーFRB理事の4人が最終候補に残っていた。
次期FRB議長にウォーシュ氏が指名されるとの見方を背景に、株価は下落し、米国債利回りは上昇した。ドルは上昇基調を強め、貴金属相場は下落した。
予測市場では29日の早い時間帯に、ウォーシュ氏が選ばれるとの賭けが急増したことが示されていた。
ウォーシュ氏は2006-11年にFRB理事を務め、過去にはトランプ氏の経済政策の助言役も担った。トランプ氏は政権1期目の17年、パウエル氏を議長に指名し、ウォーシュ氏の起用を見送った経緯がある。
ウォーシュ氏は最近、金利引き下げを公に主張し、物価安定重視のタカ派としての従来の評価に反する姿勢を示すことで、大統領に歩調を合わせてきた。
一方でトランプ氏は、市場に広く受け入れられると同時に、一段と速く一層大幅な利下げを志向する自身の考えを共有する候補者を模索してきた。
なお、米化粧品大手エスティローダー創業家一族の妻を持つウォーシュ氏は、私的な交友関係を通じてトランプ氏一族と長年にわたる個人的なつながりがある。
29日の閣議では、トランプ氏は「連邦準備制度のせいで、われわれは金利を払い過ぎている」と発言。「世界のどこよりも低い金利であるべきだ。2ポイント、いや3ポイント低くあるべきだ」と述べた。
一方、米金融当局は28日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、主要政策金利の据え置きを決めた。昨年は12月までの3会合連続で0.25ポイントずつの利下げ決定を下していた。
このほか、首都ワシントンにあるFRB本部改修工事とパウエル議長が昨年6月に行った議会証言に関連し、司法省が先にFRBに大陪審への召喚状を送付したことを受け、上院での次期議長の指名承認の先行きには困難も予想される。
ウォーシュ氏であれば、与党共和党上院議員の幅広い層に受け入れられる可能性が高い。元駐日米大使のハガティ議員は、ウォーシュ氏指名の可能性に関し、「市場が受け入れ、評価することになる非常に明確な選択だ」と話した。
だが、上院銀行委員会の有力メンバーの1人である同党のティリス議員は、司法省による捜査の問題が解決されるまで、いかなるFRB理事の指名承認も阻止する意向を繰り返し表明している。この捜査を受けて、連邦準備制度の独立性を巡る懸念が一段と高まっている。

原題:Trump Administration Prepares for Warsh Fed Chair Nomination (2)(抜粋)
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--取材協力:Justin Sink、Nancy Cook、Michael McKee、Silla Brush.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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