(ブルームバーグ):新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、健康状態が悪い人の死期を早めただけにとどまらなかった。34カ国のデータを分析した研究によると、先進国の多くで影響がなお残り、死亡率を恒常的に押し上げている。
29日に米医学誌「JAMA Network Open」に掲載された研究は、パンデミックによって脆弱(ぜいじゃく)な人が予測よりも早く死亡すると、後年の死亡が減少するという「死亡の前倒し(mortality displacement)」と呼ばれる現象に疑問を投げかけた。調査結果はこの現象がまれであり、パンデミック期の死亡のごく一部しか説明できないことを示した。
香港大学の調査研究チームは、2015年-24年の3億5000万件超の死亡データを分析し、コロナ前の死亡率傾向が続いていた場合に想定される死者数と実際の死者数を比較した。その結果、コロナ禍の最悪期が終わった後も死者数は十分に減らず、一時的に増加した死者数が時間とともに自然に相殺されるという見方は成り立たないことが示された。
同論文の主任著者で香港大学公衆衛生学部長のデービッド・ビシャイ氏は、34カ国のうち、死亡の前倒しが裏付けられたのは3カ国だけだったことに驚いたと語った。3カ国はギリシャとラトビア、ポーランドだった。
今回得られた知見は、将来のパンデミックに向けた教訓も示している。高リスク層の保護に的を絞り、感染の広範な拡大を容認する戦略は、長期的に奏功しない可能性がある。コロナ期に死亡率が高かった国ほど、数年後も総じて状況が悪化しているためだ。
ビシャイ氏は、今回の結果は、脆弱な人を保護する一方でウイルスの拡散を容認すべきだとしたグレートバリントン宣言のアプローチを裏付けるものではないと指摘した。
コロナはまた、平均寿命にも大きな影響を及ぼし、先進国で数十年続いてきた緩やかな改善を逆転させた。パンデミック中はどの国でも死者が急増したが、その後に注目されるのは、各国がコロナ前の軌道に戻ったのか、それとも平均寿命の短縮がより恒常的なものとなったのかという点だ。
欧州の多くでは依然、コロナの影響が他の地域より色濃く残っている。フランスやイタリア、英国、スペイン、リトアニアなどでは24年時点でも想定を上回る死亡率を記録しており、パンデミックの影響がまだ完全には薄れていないことを示唆している。
原題:Covid Left Lasting Rise in Deaths in Rich Countries, Study Shows(抜粋)
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