メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は約1年前、同社の2025年の設備投資計画を最大650億ドル(約9兆9700億円)へと大幅に引き上げ、注目を集めた。前年比で50%の増加となり、人工知能(AI)に本腰を入れる姿勢を印象づけるものだった。

当時は常識外れな額にも思えたが、メタはその後も設備投資額を積み増し、最終的には720億ドルに達した。25年は大規模データセンターのプロジェクトやAI提携を相次いで発表した年であり、投資額は従来を大きく上回る過去最大規模となった。

だが1年で状況はさらに大きく変わった。

ザッカーバーグ氏は29日、メタの26年の設備投資額見通しを発表。1150億-1350億ドルという規模で、予想レンジの上限となった場合、前年からほぼ倍増となる。この額は、推定される来年の総売上高の最大57%に相当する可能性がある。

41歳のザッカーバーグ氏のキャリアを多少なりとも追ってきた人なら、激化するAI競争に全てを賭ける姿勢を見ても驚かないだろう。強い魅力を感じた製品には一直線に飛び込む。それが彼のやり方だ。

そうした姿勢が報われた場面もある。競争に対する強い警戒心が、インスタグラムとワッツアップの買収につながった。前者については史上最高のテック企業買収と評価されることも多い。スナップチャットやTikTok、さらにツイッターを執拗に模倣した戦略は、数十億人の利用者と数百億ドル規模の売上高をもたらした。幹部らは今も、2012年の「モバイルへの転換」を転機として上げる。ウェブサイトではなくスマートフォン向けに開発するという判断が、フェイスブックの急成長につながった。

一方で、失敗例もすぐに思い浮かぶ。フェイスプックのライブ動画配信への進出はどうだったか。インターネット通信を提供するドローン構想はどうなったのか。そして、メタバースは。

最後のメタバースは投資家の記憶にも新しく、同社が打ち出す積極的なAI投資計画を巡って評価が割れる大きな理由となっている。フェイスブックとインスタグラムを擁する同社は広告事業で潤沢な資金を生み出しているが、同程度の収入増が見込めるか不透明なAI戦略に現在、その資金の多くを賭けている。ザッカーバーグ氏が前回、特定の製品にこれほど強い自信を示したのは、社名をメタに変更し、仮想現実(VR)や仮想空間の開発に数百億ドルを投じた局面だった。その賭けは、いまだに成果を上げていない。

今回のAIへの新たな賭けに対する投資家の反応はまちまちだ。28日には株価が時間外取引で上昇した。一方、10月に支出増加を示唆した際には、株価は一時14%下落。今回の決算発表後も、一部のアナリストは慎重な見方を崩していない。

ハーグリーブス・ランズダウンのアナリスト、マット・ブリッツマン氏は「投資家がこの積極的な投資計画を消化するにつれ、株価の反応が落ち着いてきても不思議ではない」と指摘した。

メタのAI投資が最終的に実を結ぶかどうかは誰にも分からない。ただメタバースの時と違うのは、今回は孤立していない点だ。OpenAIやアルファベット傘下のグーグルなど、他の巨大企業もAIに巨額投資を行っている。マイクロソフトも28日に高水準の投資見通しを示し、投資家の間には落胆が広がった。少なくとも今回は、前回にはなかった数の力による一定の安心感がある。

もっとも、他社はメタのようなメタバース投資という重荷を背負っていない。今回こそ成功させなければならないというザッカーバーグ氏の切迫感は、他の巨大テック企業のCEOには見られない水準に高まっている。

その重圧は既に表面化しているのかもしれない。過去1年間、人材やインフラに積極投資してきたにもかかわらず、ザッカーバーグ氏は、昨年刷新されたAIチームによる最初のAIモデルについて語る際、控えめな口調に終始した。深くコミットしている同氏としては、異例とも言える慎重さだった。このモデルは、数カ月以内に発表される可能性がある。

ザッカーバーグ氏は「最初のモデルは良いものになると期待している」とした上で、「それ以上に重要なのは、われわれが急速な進化の軌道に乗っていることを示す点だ」と語った。

原題:Zuckerberg Backs Up the Brink’s Truck (Again): Tech In Depth(抜粋)

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