(ブルームバーグ):日本株市場で消費関連銘柄を見直す動きが出始めている。食料品に対する消費税率引き下げ観測が強まっている上、通貨当局による為替介入への警戒感から円が対ドルで急騰し、家計の購買力を損なってきた輸入インフレが和らぐとの見方が背景にある。
高市早苗首相が消費減税を検討する方針が報じられた今月中旬以降、東京証券取引所の食料品指数は0.4%上昇した。小売業指数は0.8%下げているが、東証株価指数(TOPIX)が2.6%下落する中で相対的に持ちこたえている。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「食料品の消費減税と円安に歯止めがかかったことを合わせると、これまで厳しい逆風にさらされてきた小売り、消費関連銘柄には追い風が吹きそうだ」と語る。
円安は輸入コストの上昇を通じて家計の可処分所得を圧迫し、消費関連企業の売り上げに影響を及ぼす。ゴールドマン・サックス証券の内需株バスケットは円安が進み始めた昨年9月にピークを付け、その後は外需株と対照的に低空飛行を続けてきた。
それだけに、円安トレンドが本格転換すれば、株式市場でも資金の流れが変わる可能性は高い。市場関係者によると、米国当局は前週末、主要銀行に対して参考となる為替レートの提示を求めるレートチェックを実施した。従来、市場への介入に消極的だった米政府が円安阻止へ日本と協調行動を取る場合、為替相場に与える影響は大きくなり得る。
消費を左右する実質賃金の基調にも変化の兆しが出ている。近年、賃上げが加速する中でも消費者物価の伸びが上回り、実質賃金はこの3年間、ほぼ下がり続けてきた。だが、今年はガソリンの暫定税率廃止やその他公共料金への補助金などの影響で物価上昇が鈍化し、実質賃金のプラス転換が視野に入る。
マネックス証券の山口慧太マーケット・アナリストは「春闘が比較的堅調に着地し、年後半からは実質賃金がプラスになる可能性が高いとみられる中、消費関連株に買い材料があるのは事実」だと指摘。テクノロジー株などバリュエーションの高い銘柄から、食料品を含むディフェンシブ銘柄へのシフトが進む可能性があるとみている。
もっとも、消費関連株がどこまで回復できるかについては慎重な見方も多い。食料品の減税が実現してもインフレの下押し効果は短期間で終わり、むしろ政府の物価対策が消費を刺激し、結果的に物価上昇率を高めてしまうリスクもある。
住友生命保険の村田正行バランスファンド運用部長は、日米通貨当局のスタンスがはっきりするまで一時的に内需株に逃げるという戦略は有効だとしながらも、外需株優位が終わったとまでは言い切れないと指摘する。
消費減税についても、食費が下がることで映画鑑賞やゲームの購入など他のレジャー消費が増える可能性がある半面、食料品株の押し上げ効果は限定的と予想した。
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