比較的抑制された価格ショックでも、企業と密接に結び付いたネットワークを直撃すれば、大規模なインフレを引き起こす可能性があることが、欧州中央銀行(ECB)の研究で示された。

ECBのエコノミスト、アントン・ナコフ氏とバルセロナの国際経済研究センター(CREI)のミシェル・ガシベ氏によれば、供給ラインを通じて広がる連鎖反応が背景にあり、ある企業の提供価格が別の企業の投入コストになるためだという。

ナコフ、ガシベ両氏は、ECBのウェブサイトに27日掲載された記事で、 「こうした連鎖反応は、ショックが大きいほど不釣り合いに拡大する」と述べ、「生産性の大幅な低下や世界的な商品価格の持続的な急騰といった深刻な混乱は、経済の大部分を飲み込む波を引き起こし得る」と述べた。

ロシアによるウクライナ侵攻後、エネルギーコストの急騰を背景に、ユーロ圏のインフレ率は10%を超える水準に達した。ECB当局者は、消費者物価への影響を過小評価し、対応が遅れたことを認めている。経済学者らは同様の過ちを今後どのように回避すべきかを研究している。

ナコフ、ガシベ両氏は標準的なマクロ経済モデルでは、2022年以降に見られたインフレ急加速と、企業による価格改定の頻度の双方を説明するのは困難だと指摘した。

そこで両氏は、現実的な産業連関で結ばれた約40のセクターから成る経済の詳細なモデルを構築。価格の急騰と、異例ともいえる迅速な調整速度の双方を再現した。

両氏は、新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)後のインフレ急騰は、企業の強欲さや過度に緩和的な金融政策によるものではなく、緊密に結びついた生産ネットワーク全体へと波及した予期せぬ価格ショックによって引き起こされた」と結論付け、「将来のインフレリスクを理解し、効果的な政策対応を設計するには、こうしたメカニズムを注視することが不可欠だ」と論じた。

原題:ECB Study Finds ‘Pricing Cascades’ Can Cause Inflationary Wave

(抜粋)

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