(ブルームバーグ):米ミネソタ州ミネアポリスで暴力的な移民摘発に対する抗議活動が広がる中、集中治療室(ICU)の看護師アレックス・プレッティさんが連邦職員に射殺された事件を巡り、人工知能(AI)新興企業アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)も強い憤りを表明した。
アモデイ氏は26日にX(旧ツイッター)に投稿し、最近公開されたAIに関する論文に言及し、「ミネソタで目にしているこの恐るべき事態を踏まえれば、民主的価値と権利を国内で守る重要性を強調するこの論文は特に意味がある」と述べた。

テック業界の幹部らはここ数日、政治的に敏感な問題に相次いで言及している。ミネソタ州での暴力的な移民取り締まりに異議を唱えた経営者には、リンクトイン共同創業者のリード・ホフマン氏、レディット共同創業者のアレクシス・オハニアン氏、元メタ・プラットフォームズのチーフAIサイエンティストのヤン・ルカン氏らが含まれる。
パリ在住のルカン氏は25日、プレッティさんの死亡映像を添えて「殺人者たちだ」と投稿。オハニアン氏は「米移民・関税執行局(ICE)は拘束中の男性を背後から撃った。指導者たちは今こそ行動し、事態を沈静化すべきだ」と記した。
テック業界ではエンジニアや技術者ら数百人が連名で「ICEout.tech」という公開書簡に署名し、ミネソタ州での暴力を非難するとともに、「すべての都市からICEを排除するよう業界のリーダーも声を上げるべきだ」と訴えている。
一方、米大手テック企業のCEOはおおむね沈黙を保っており、アップルのティム・クック氏やメタのマーク・ザッカーバーグ氏、アルファベットのスンダー・ピチャイ氏らは公の場で意見を表明していない。経営トップがトランプ政権の政策に公然と反対することは、政治的・事業的なリスクを伴うためだ。
CEO以外では、より率直な声も上がっている。グーグル傘下ディープマインドのチーフサイエンティスト、ジェフ・ディーン氏は「政治的立場にかかわらず、この事件を誰もが非難すべきだ」と投稿。アンソロピック共同創業者のクリス・オラ氏はXで、普段は政治について語らないとしながらも「連邦職員が理由もなくICU看護師を殺害したという最近の出来事は、良心を揺さぶる」と記した。

SNS上では、テック業界CEOの沈黙を批判する投稿も広がっている。ハリウッド・リポーターなどによると、同時期にアップルのクックCEOやアマゾンのアンディ・ジャシーCEOがワシントンでメラニア・トランプ大統領夫人を題材としたドキュメンタリー映画「メラニア」のワシントン上映会に出席していた。
技術者らによる公開書簡は、テック企業にホワイトハウスへの要請や移民当局との契約破棄、暴力への公的な反対表明を求めている。「われわれの業界のリーダーたちには影響力があることが分かっている。昨年10月には、彼らの働きかけでトランプ氏がサンフランシスコでのICE展開計画を撤回した。そして今夜、主要テック企業のCEOたちはホワイトハウスにいる。今こそ、彼らにはさらなる行動が必要だ」と訴えた。
原題:Amodei, Hoffman Join Tech Workers Decrying Minnesota Violence(抜粋)
--取材協力:Brody Ford、Shirin Ghaffary.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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