(ブルームバーグ):米投資会社ダブルライン・キャピタルは、割高な評価を受けた企業が人工知能(AI)分野への投資や買収資金を確保するため過去最高規模の借り入れに動きつつあり、すでに過熱気味の市場が一段と危うさを増していることを警戒し、社債の購入を控える方針だ。
同社のグローバル・デベロップトクレジット部門のディレクター、ロバート・コーエン氏はインタビューで「今年はリスクが積み上がる年になる」とした上で、「リスクが高まる一方で、スプレッドは縮小している。最悪のシナリオだ」と語った。
低リスクの国債に対する高格付け社債のリスクプレミアムは、約30年ぶりの低水準付近にとどまっているが、クレジット市場における慢心への警告は米金融業界全体で強まっている。ただ、「本格的な過熱」は今年訪れるとコーエン氏はインタビューで語った。さまざまな企業が再びレバレッジを高め、融資基準が緩和されることで、信用指標が悪化していくという。
「われわれはいま、信用拡大局面にいる」とし、「ここでクレジットリスクが積み上がっていく」と語った。
コーエン氏の警告の背景には株式市場の高揚感をオラクルなど少数のAI関連企業が主導している状況がある。同氏は、株式市場での評価見直しが、クレジットにとって最も重要な短期リスクとみており、こうした高いバリュエーションを特に懸念している。市場のテーマのわずかな変化でも市場調整につながり、結果的にクレジットスプレッドが拡大する可能性があるとの見方を示した。
運用資産960億ドル(約14兆8000億円)のダブルラインは、短期的なボラティリティーを利用した取引よりクレジットの選別に注力しており、ハイイールドから投資適格債まで、社債全体の保有を減らしている。
また、全体として質へのシフトを進め、ジャンク債の中でも格付けの低い層から資金を引き揚げ、米国債や政府機関保証付き住宅ローン関連証券に通常より高い比重を置いている。関税を巡る緊張が続く中、コーエン氏は関税リスクの大きい企業を敬遠している。また米国の中・低所得層の耐久力を巡る不透明感から、小売業界を特に不安視している。
足元の状況は、企業がバランスシートの改善を優先していた、コロナ禍後の数年間から一変した。当時は、借り換えや債務削減に重点を置く企業が多く、結果的にネットベースの供給が比較的少なく、需要は堅調で、格下げより格上げの方が多かった。しかし、昨年はさまざまな分野でディールメーキングが活発化し、企業のさらなる債務積み増しに好都合な環境にあると見受けられると、コーエン氏は指摘した。
ジャンク級への転落が懸念される高格付け債は、約630億ドルに上る。投資家が特に懸念しているのが、クレジット分野でのAIリスクの指標となっているオラクルだ。コーエン氏は、同社の将来の収益性見通しや手元資金の流出、さまざまな借り入れ形態に関する透明性の欠如を懸念している。
オラクルの広報担当者はコメントを控えた。
原題:DoubleLine’s Cohen Dials Back Corporate-Debt Buying, Fears Worst(抜粋)
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