(ブルームバーグ):米モルガン・スタンレーは日本の金融市場で「あらゆる事業」でのシェア拡大を目指し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との連携を一段と強化する方針だ。日本法人の田村アルベルト社長がブルームバーグとのインタビューで述べた。
田村氏は「それが日本で最大手の証券会社となる唯一の道だと考えている」とし、協業の中核である合弁証券2社について、野村ホールディングス傘下の野村証券を上回る存在に成長させることに意欲を示した。グローバルに強固なビジネス基盤を持つモルガンSと国内銀行グループ最大手のMUFGが手を組むことで「多くの成長機会」が生まれると強調した。
両社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券を通じて日本株取引や投資銀行業務、資産運用サービスなどの連携を強めてきた。田村氏はいずれの分野でも協力を深化できるとみている。また、両社は証券業務以外の分野での連携にも前向きで現在、不動産の資産運用事業で協力の可能性について対話していると述べた。

田村氏の姿勢は、世界の金融機関が、長期低迷から脱して回復基調にある日本市場への関心を高めていることを裏付けている。コーポレートガバナンス(企業統治)改革を背景に、企業の合併・買収(M&A)は記録的な水準に達しているほか、家計による株式投資や機関投資家の国債取引も増加するなど証券会社には追い風が吹いている。
田村氏は「日本経済の復調は確かなものだ」と述べ、回復は維持可能だとの認識を示した。モルガンSが議決権の51%を持つモルガン・スタンレーMUFGは2026年3月期決算で、4年連続で過去最高の純営業収益を計上する可能性があるという。25年3月期(前期)の純営業収益は1532億円だった。
開示資料によると、モルガン・スタンレーMUFGの従業員数は25年3月末時点で923人と、外資系の日本証券法人では最多。三菱モルガンの機関投資家向け日本株業務の統合などで、24年3月期に大幅に増加した。

モルガンSとMUFGの提携は、約20年前の世界金融危機の際に始まった。MUFGが資本増強を必要としていたモルガンSに90億ドル(当時の為替レートで約9000億円)を出資。その後証券合弁2社などを立ち上げ、23年には「アライアンス2.0」と銘打って外国為替取引やリサーチ、日本株業務の一部で新たな協業に踏み切った。MUFGもさらなる提携拡大に意欲的だ。
モルガンSのテッド・ピック最高経営責任者(CEO)は昨年、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで次のステップとなる「アライアンス3.0」について「可能性を模索し始めている」と述べた。田村氏によると、モルガンSが本社を置くニューヨークでは、「日本経済は今後も堅調に推移するという見方が非常に強い」という。
もっとも、国内最大手の野村証券を追い抜くのは容易ではない。合弁証券2社は、合算ベースの純営業収益で野村証を上回ることを目指しているが、同社との差は過去2年でむしろ拡大している。
ウォール街のライバルも成長している。米JPモルガン・チェース傘下の日本法人であるJPモルガン証券は25年3月期決算で、モルガン・スタンレーMUFGを上回る純利益を計上。モルガン・スタンレーMUFGは純営業収益ベースで外資勢のトップを維持したが、人材獲得を含め競争は激化している。
(第7段落以降に背景などを追加して更新します)
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