26日の外国為替市場で円がドルに対し上げを拡大し、一時153円台半ばまで上昇した。円安進行を食い止めるための当局の為替介入に対する警戒が一段と高まり、円買い・ドル売りの動きが加速している。

円は一時、前週末のニューヨーク終値に比べ1.5%高の153円40銭まで上昇し、昨年11月10日以来の高値を付けた。高市早苗首相は25日、足元の市場の動きについて「投機的な動きや非常に異常な動きには日本政府として打つべき手はしっかり打っていく」と発言。円買い介入への警戒感を高める一因となった。

予測不能な米国の政策を警戒して、ドルが対主要通貨で全面安となっていることも円高に拍車をかけている。ドルは先週、昨年5月以来の大幅な下落を記録。オプション市場におけるドルのプライシングは、少なくとも2011年以降で最も弱気な水準に向かっている。

ドル観測筋の多くにとって、米国が円上昇を支援する兆しは、主要貿易相手国に対するドル安を誘導する協調介入の可能性を巡る議論を再燃させる。こうした協調は、世界の基軸通貨であるドルの長期的な価値に疑問を投げ掛けるものの、中国や日本などの競合相手と米国の輸出業者が競争する上で有利に働くだろうと考えられている。

米国では介入が行われる場合、通貨政策を設定する財務省が決定を下し、通常は連邦準備制度(FRB)が実行役を担う。

 

円相場は日本時間23日午後、日本銀行の植田和男総裁の会見後に急速に買い戻され、157円37銭まで反発。さらに、ニューヨーク時間には155円63銭と年初来高値を更新した。市場関係者によると、ニューヨーク連銀が主要銀行に対し、参考となる為替レートの提示を求めるレートチェックを実施。日本当局による市場介入を支援する準備を進めているとの思惑が広がった。

みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは、わざわざ米財務省の指示で米金融政策当局がレートチェックをしたとすれば、市場は日米当局による「協調介入」を意識することになると指摘。「実現に向けたハードルは高い」とみるが、仮に協調介入が実施されると日本の単独介入とは異なり、原資の制約がなくなるため、円安抑制の「効果は期待できる」と言う。

三村淳財務官は26日、レートチェック観測についてコメントを控えた上で、日米共同声明に沿って今後とも米国当局と緊密に連携し、適切に対応すると述べた。 片山さつき財務相も同日、日米協調介入の可能性や市場動向に関してはコメントを差し控えるとした上で、「緊張感を持って市場の状況を注視している」と述べるにとどめた。

ペッパーストーン・グループのストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「レートチェックは通常、当局が行動に踏み切る前の最後の警告だ」と指摘。「高市政権は、従来の政権に比べ投機的な為替変動に対する許容度がはるかに低いように見受けられる」と述べた。

レートチェックが行われたとの報道で、トレーダーは円を売り込む動きに慎重になっている。米商品先物取引委員会(CFTC)のポジション統計によると、最新データである20日時点で、投機筋は円のネットショートになっている。円のショートポジションは過去10年余りで最大規模に積み上がっており、巻き戻し圧力が強まっている。

高市首相は25日のフジテレビの報道番組で「市場で決まることであり、首相としてコメントすべきことではない」としつつ、投機的で極めて異常な動きに対しては必要な措置を講じていくと語った。どの市場を指しているのかについては具体的に言及しなかった。

日本の当局者は足元、国債利回りと円相場の双方について警戒を示している。超長期国債の利回りは20日に過去最高水準まで急上昇していた。

ニューヨーク連銀のウェブサイトによると、米国が為替市場に介入したのは1996年以降で3回にとどまる。直近では2011年の東日本大震災後、主要7カ国(G7)と協調して円売りを実施し、市場の安定化を図った。

ピナクル・インベストメント・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、アンソニー・ドイル氏は「日本は国内への副作用や海外への波及リスクを伴わずに円安を是正するのは難しい。『第2のプラザ合意』のような展開が現実味を帯びてきたと受け止める向きもある」と話す。米財務省が市場関係者に直接連絡を取り始めるようになれば、「為替相場の通常の範囲を超えた局面に入ったとみられる」と述べた。

日本当局は24年、円相場を下支えするため約1000億ドルを投じて円買い介入を実施した。介入は計4回行われ、いずれも円相場が1ドル=160円前後に達した局面だった。この水準が、再び当局が動く目安になり得るとの見方が出ている。

ロンバー・オディエの上級マクロストラテジスト、ホミン・リー氏は「ドル・円相場を本気で一定水準に抑え込もうとするのであれば、最終的には日本当局が実際の市場介入に踏み切る必要がある」と分析。日米がそろって市場に介入すれば、「両国の協調姿勢をこれまでになく明確に示すことになる」とみる。

 

日本では2月8日に衆院選の投開票が行われる。食料品への消費税減税を検討するとの高市氏の選挙公約を受け、足元では国債市場が動揺している。高市首相は、衆院解散の意向を表明した19日の記者会見で、飲食料品にかかる8%の軽減税率を2年間ゼロにする考えを打ち出した。翌20日には財政悪化懸念から超長期金利が急騰。40年国債利回りは一時4.215%、30年債利回りも3.875%まで上昇し、共に過去最高を更新した。

イーストスプリング・インベストメンツの債券ポートフォリオマネジャー、ロン・レン・ゴー氏は「財政支出拡大に注目が集まる現在のマクロ環境では、為替介入で円安の流れを遅らせることはできても、反転させることはできない」と語った。

原題:Market on High Alert for Yen Intervention After Takaichi Warning(抜粋)

(相場を更新し、第4-第5段落に情報を加えます)

--取材協力:望月崇、Carter Johnson、Matthew Burgess、日高正裕.

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