米国は、デンマーク自治領グリーンランドでの軍事プレゼンスに一切の制限がかからぬよう、同国との防衛協定の書き換えを望んでいる。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。トランプ大統領がグリーンランド掌握を求める中、交渉担当者にとって焦点の一つとなっている。

1951年に締結され、2004年に改定された現行協定では、米国は「グリーンランドでの米国の軍事活動や施設に重要な変更」を行うのに先だって、デンマークおよびグリーンランドと「協議・通知」する必要があると定めている。

非公開の協議について匿名で関係者によると、米側の交渉担当者は、計画を進めるに当たり同国がいかなる制約も受けないよう、この文言を修正したい考えだという。協定の具体的な内容は、引き続き交渉中だとしている。

ホワイトハウスのケリー報道官は、「トランプ大統領は合意の成立を強く期待しており、この合意が成立すれば、米国はグリーンランドに関する全ての戦略目標を極めて低いコストで、恒久的に達成することになる」と説明した。

さらに、「関係する全当事者によって詳細が最終的に取りまとめられ次第、適宜公表される」と語った。一方、在米デンマーク大使館はコメントを控えた。

こうした説明は、トランプ氏自身が求めている内容の説明とも一致する。トランプ氏は21日、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長と会談後、グリーンランドを巡る「将来の合意の枠組み」構築について投稿したが、詳細は示さなかった。

帰国の途に就いたトランプ氏は22日、合意によって米国がグリーンランドの所有権を得るのかとの記者団の質問に対し、「われわれは一丸で取り組む。NATOも関与する」と発言。「われわれはNATOと連携して、幾つかの部分を進める。それが本来あるべき姿だ」とし、デンマーク側が同意したかどうかは「2週間以内」に明らかにすると語った。

これに先立つFOXビジネスとの22日のインタビューでは、米国は「望む限りの軍事的アクセス」を得ることになると述べ、「必要なものはグリーンランドに配備できる。われわれがそれを望んでいるからだ。本質的には全面的なアクセスで、終わりも期限もない」と話していた。

最終合意が成立すれば、第2次世界大戦後のNATO創設以来、大西洋同盟にとって最も深刻な脅威として浮上した事態は沈静化する。トランプ氏が言及した合意の枠組みには、米国のミサイル配備、中国の関与を排除することを目的とした採掘権、北極圏でのNATOのプレゼンス強化が含まれると、ブルームバーグは報じた。

その見返りとして、トランプ氏は先に欧州諸国に対して警告していた関税について、賦課しないとの約束を順守することになる。

トランプ政権の動きは、冷戦終結以降、米国がグリーンランドでのプレゼンスを大幅に縮小してきた数十年にわたる流れを逆転させるものだ。米軍はかつてグリーンランドに最大17の基地を展開していたが、現在は約150人の要員と300人余りの契約社員を抱える単一基地にまで縮小している。契約社員の多くはデンマーク人やグリーンランドの住民だ。

ただ、デンマークとグリーンランドがどの程度まで変更に同意するのかは不透明だ。デンマークのフレデリクセン首相は22日、ブリュッセルで開かれる欧州連合(EU)首脳会議を前に記者団に対し、デンマークとグリーンランドはいずれも1951年の米国との防衛協定を「さらに拡大」することに前向きだと述べたが、詳細には踏み込まなかった。

フレデリクセン氏は「これは当然、適切で敬意を払った形で行われなければならない。現在、それが可能かどうかを見極めているところだ」と語った。

協定の文言自体は、既に米国に対する制約はほとんどなく、デンマークとグリーンランドは長年にわたり、米国の軍事プレゼンス拡大を促してきた。

バイデン前政権で北極・グローバルレジリエンス担当の国防次官補代理を務めたアイリス・ファーガソン氏は、「何かについて協議を求めるたびに、常に話し合う意思を示してもらえた」とコメント。さらに、各種契約が地域経済を支えることから、グリーンランド側も米国が軍事面で関与を深めることに関心を示していたと指摘した。

原題:US Seeks Carte Blanche for Military Presence in Greenland(抜粋)

--取材協力:Sanne Wass、Alex Wickham、Courtney McBride、Kate Sullivan、Anthony Capaccio、John Harney、Hadriana Lowenkron.

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