(ブルームバーグ):高市早苗首相は、23日に衆院を解散すると表明した。食料品にかかる消費税の軽減税率を一時的に引き下げることを公約に掲げ、来月8日投開票の総選挙(1月27日公示)に臨む。19日夕の記者会見で語った。
高市首相は、食料品の消費税ついて、2年間に限り軽減税率の対象から外す考えを表明。自民党と日本維新の会との連立政権合意書に盛り込んだ政策でもあり、「私自身の悲願でもあった」と語った。今後設置される国民会議において財源やスケジュールの在り方など実現に向けた検討を加速するとした。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は、高市政権は財政規律面でリスクを取っていると指摘。食料品の消費税ゼロ%は2年限定とされているが、一度導入すれば元に戻すのはほぼ不可能だろうとの見方を示した。
有権者の最大の関心事は生活費の高騰だ。インフレ率は3年半余りにわたり2%以上の水準が続く一方、物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、家計への負担が強まっている。高市政権は物価高対策を最優先課題に掲げている。生活に直結する食料品にかかる消費減税は選挙戦で野党の勢いを封じる切り札となる。
立憲民主、公明両党が結成した「中道改革連合」は同日発表した基本政策の中で、食料品の消費税をゼロ%に恒久的に引き下げることを掲げた。
19日の日本市場では、拡張的な財政への警戒感から債券相場が下落(利回りは上昇)。新発5年債、30年債、40年債の利回りがいずれも過去最高を更新した。
【日本市況】金利軒並み過去最高、与野党が消費減税公約へ-株式続落
一方、東京株式市場では食品関連株の一部が上昇。消費税引き下げによる需要増が期待された。山崎製パンの株価終値は前日比4.8%高と、2025年8月以来の上昇率を記録。セブン&アイ・ホールディングスも5%上昇した。
高市首相は消費減税の財源について「特例公債に頼ることなく、その間の財源がどうあるべきかといった点も含めて実現に向けた検討を加速させる」と強調。補助金や租税特別措置、税外収入など歳出歳入全般の見直しが考えられるとした。
財務省は昨年4月時点で、軽減税率の8%をゼロ%とした場合の税収の減額見込みは5兆円程度との試算を示していた。
与党で過半数
高市首相は、衆院解散に踏み切った理由について、昨年10月の首相就任後、「政権選択選挙の洗礼を受けていないことをずっと気にかけてきた」と説明。その上で、自身が首相でよいのかどうか、国民に決めてもらうしかないと考えたと語った。
高市氏は、自身の高い支持率を背景に、与党が僅差で過半数を占める衆議院での主導権をより確固たるものにしようとしている。選挙で勝利すれば、拡張的な財政政策を進めるための国民からの信任を得ることになる。
政権が掲げる「責任ある積極財政」は、これまでの経済財政政策を大転換するものだとした上で、行き過ぎた緊縮財政の呪縛を乗り越え、すぐに着手する責任があるとも発言した。
朝日新聞が17、18両日に実施した世論調査では、物価高に対する高市首相の対応を47%が「評価しない」と回答。「評価する」と回答した39%を上回った。内閣支持率は67%と高水準を維持した一方、衆院選の比例区投票先で自民は34%と伸び悩んでいる。
高市首相は、衆院選での獲得議席目標について、自民と維新の「与党で過半数を目指す」とし、「内閣総理大臣としての進退をかける」と言明。信任を得られれば、「その後の政策実現のスピードを加速することができる」と述べた。一方で、「信任をいただけなければ責任を取る」とした。
他の発言
- 補正予算組まれることを前提した予算編成手法から決別する
- 複数年度の財政出動をコミットする仕組みを構築する
- 具体的で客観的な指標明示しながら市場からの信頼得る-財政
- 投機的な動きには注視、必要な対応を打つ-為替変動
- 中国との対話にはオープン、今も各レベルで意思疎通行っている
- 中国と意思疎通続けながら国益の観点から冷静に適切に対応
(更新前の記事は、山崎製パン株の上昇率を24年10月以来から25年8月以来に訂正済です)
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