(ブルームバーグ):トランプ米政権が最近、66の国際機関から脱退すると決めた動きは、強硬な「米国第一」の外交政策に見える。だが、米国の多国間グループ向け資金拠出への影響は小さい見通しだ。
トランプ大統領は今月、国連関連の31組織とその他35の機関からの脱退を発表した。ただ、保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のシニアフェロー、ブレット・シェーファー氏の分析によると、これらの機関への支出は2023年に米国が国際組織に拠出した額の3%未満に過ぎない。
シェーファー氏は、ホワイトハウスの文書に今回列挙された機関について、「大口ではない」と指摘。これには国際熱帯木材機関(ITTO)や汎米地理歴史研究所(PAIGH)、国際綿花諮問委員会(ICAC)などが含まれる。同氏はさらに、「徹底的な見直しを行っていると言いながら、このリストにある組織に焦点を絞るというのは、動脈ではなく毛細血管を狙っているようなものだ」と語る。
米国がさらに多くの国際機関から距離を置く動きは、ソフトパワーから離れ、トランプ大統領のより強硬な「力による平和」戦略へと傾斜していることを示している。
デンマークからグリーンランドを取得することに意欲を示して北大西洋条約機構(NATO)を揺さぶり、ベネズエラのマドゥロ大統領を一方的に拘束して世界の外交官を驚かせたトランプ氏は、第2次大戦後の秩序を支えてきた国際システムへの軽視を改めて鮮明にしている。
重要との認識も
ルビオ米国務長官は「無駄が多く、効果も乏しく、有害な」組織を批判。「もはや米国民の血と汗と財産を、こうした機関に送り続けることは許されない」と述べた。
ルビオ氏が「追加的な国際機関の見直しは現在も続いている」としていることから、離脱対象は今後増える可能性もある。
しかし、米国が脱退する国際機関と、引き続き残留する機関を見る限り、国際組織の多くがなお米国の国益にとって重要であることを認めるものになっていると、一部のアナリストは指摘する。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナリスト、クリス・ケネディ氏は「今回の発表が穏健だったことに正直驚いている」とコメント。経済協力開発機構(OECD)など、一部から脱退を促されていた幾つかのグループに米国がとどまっていることに言及し、「これらの組織が実際に一定の役割を果たしているという認識が政府内の一部にあることを反映している」と語った。
国際危機グループで国連部門の責任者を務めるダニエル・フォーティ氏は、「国連は米国にとって格好の攻撃対象なのかもしれないが、平和と安全保障に関する多くの優先課題に対処するには、この国際協力の仕組みが必要だ」と述べた。
原題:Trump’s Selective Exit From Global Groups Is Tamer Than Feared(抜粋)
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