物価高の穴9.7兆円
家計が1年間に物価上昇によって失った購買力の実額はどのくらいだろうか。確からしい数字は、GDP統計のデフレーターから計算できる。
家計最終消費支出の名目・実質額の差が、物価上昇のインパクトの実額になる。直近のGDP統計は2025年7-9月である。
1年間の計算を2024年10月~2025年9月までで行うと、9.7兆円になる。過去数年間でみて、だいたい年10兆円程度の物価上昇の負担増が生じていることが、2022暦年以降でみてわかる。
このように具体的に実額を計算してみると、高市政権が経済対策などを通じて積み上げた家計支援約5兆円(4.7兆円)は、物価上昇(9.7兆円)の約半分しか穴埋めできていないことがわかる。
あれだけ財政出動したのに、まだ半分しか埋まっていないということが筆者の試算からはわかるだろう。家計支援の4.7兆円は、名目家計消費支出で割ると1.5%程度でしかない。家計消費デフレーターの伸び率3%程度の半分でしかないという言い方もできる。
これは、財政・税制を通じた支援額がまだ少ないという意味ではなくて、財政・税制を通じた巨大な支援を政府が試みたところで、その手法では自ずと限界が大きいと理解すべきなのである。
