米債券運用大手のパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、PGIM、DWSグループの運用担当者らは、トランプ米大統領による米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性への攻撃が、金利引き下げを目指す同氏の目標と矛盾していると警告している。

トランプ政権がFRBのインフレ抑制力への信頼を損なう恐れがあり、金融市場に新たな重大リスクを持ち込んでいると運用担当者らは指摘する。市場ではそうした懸念が続く限り、米国債利回りが本来より高止まりし、住宅ローンや企業融資などの金利を押し上げる可能性があるとの見方が広がる。

PGIMフィクストインカムのグレゴリー・ピーターズ共同最高投資責任者は「市場はFRBを不安定要因として警戒するようになるだろう」と予想。司法省がパウエル議長の訴追を検討しているとの報道について、同氏は「突然の出来事であり、明確にリスク回避を促す材料だ」と述べ、「制度的規範のさらなるほころびであり、中長期的に影響が及ぶ可能性がある」と語った。

トランプ氏は繰り返し、FRBに対してより積極的な利下げを求めており、そうしなければ景気の重しになると主張している。インフレ率が依然としてFRB目標を上回る中でも、その姿勢を崩していない。

同氏は住宅ローン詐欺疑惑で最高裁に係属中のクックFRB理事の解任を試みたほか、金融緩和に前向きなホワイトハウス顧問をFRB理事に任命した。

FRBは昨年9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げを再開したが、10年国債利回りは約4.2%と、トランプ氏の大統領就任前の2024年末とほぼ同水準にとどまっている。

この状況に不満を募らせたトランプ氏は先週、住宅ローン担保証券(MBS)の購入を政府機関に指示し、クレジットカード金利の上限を1年間、10%に設定するよう銀行に命じた。

パウエル議長は11日、FRB本部改修計画を巡る議会証言に関連し、刑事訴追の可能性を示唆する大陪審への召喚状を司法省から受け取ったと明らかにした。パウエル氏は、これはFRBの金利決定への報復だと述べ、議長任期が満了する5月まで独立した立場を堅持すると表明した。

議長の姿勢は政治的圧力から独立した中央銀行が米国金融システムの安定の鍵だと考える投資家に歓迎された。このため市場の反応は限定的となり、長期金利の上昇は約2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)にとどまった。12日の10年債入札も堅調な需要を集め、落札利回りは市場水準をわずかに下回った。

DWSアメリカスの債券部門責任者ジョージ・カトランボーネ氏は「注目すべきは、起きなかったことだ。利回りが大幅に上昇し、最悪シナリオを織り込む動きは見られなかった」と指摘。この反応を「Trump Always Chickens Out、(トランプはいつも尻込みする)」の頭文字を取った「TACO」トレードに例えた。

同氏は「政権は長期金利の上昇を望んでいない。FRBの独立性に疑問を投げかけることはまさにそれを引き起こす」と述べ、「市場はトランプ氏が土壇場で手を引く可能性も織り込んでいる」と分析した。

ピムコのダニエル・アイバシン最高投資責任者は12日の市場の反応について、法制度と政治プロセスが政権の圧力からFRBを保護するに十分なほど強固だという確信を示していると指摘。その上で、「市場は確実性、予測可能性、そして何より政策金利が独立して決定されることを好む」とし、「その独立性が脅かされれば、意図しない結果を招きかねない。もっと単純に言えば、金利上昇につながる可能性がある」と述べた。

原題:Pimco, PGIM See Risk Trump’s Fed Fight Will Drive Up Rates (1)(抜粋)

--取材協力:Alice Atkins、Ye Xie.

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