(ブルームバーグ):片山さつき財務相は13日、ベッセント米財務長官と会談し、一方的な円安を憂慮していると伝え、認識を共有したと述べた。重要鉱物に関する主要7カ国(G7)などの財務相会合後、米ワシントンで記者団に語った。
片山財務相は、「9日に一方的に円安が進んだ場面が見られた」とした上で、ベッセント長官には為替動向を「憂慮していることを伝え、長官もこうした認識を共有した」ことを明らかにした。
13日の円相場は1ドル=158円台半ばに下落し、1年ぶり安値を更新。高市早苗首相が通常国会の冒頭で衆院を解散する検討に入ったとの報道を受け、政策運営面で拡張的な金融・財政政策を目指す高市色が強まるとの思惑から前週末の東京時間から一段と円安が進んでいる。朝方に片山財務相の発言を受けて157円台後半に小反発する場面があったが、続かなかった。
片山財務相の会見後、同省幹部は、為替相場への対応について、必要に応じて日米の大臣代理レベルで連絡を取りあうことを確認したと語った。
昨年12月は米国の利下げ、日本の利上げにより日米金利差が縮小したにもかわらず円安基調は続いている。2024年に実施された政府・日銀による円買い介入の水準に接近する中、市場は通貨当局の情報発信を注視している。
セントラル短資FXの富永貴之市場業務部部長は、片山財務相の円安警戒発言を受けて市場は素直に円高方向に動いたと指摘。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長への政治的圧力からドル売り圧力が強い一方、総選挙で高い支持を得て積極財政を進めるとの見方から円高の動きも限定的とし、「ドル安と円安の綱引き状態」とみる。
片山財務相は昨年12月のインタビューで、9月の日米財務相共同声明を踏まえ、為替の過度で無秩序な動きに対しては断固として措置を取ると発言。昨年12月19日の植田和男日銀総裁の会見後に進んだ円安は「ファンダメンタルズではなくて投機だ」とした上で、為替介入の可否には「フリーハンドがある」と市場をけん制している。
尾崎正直内閣官房副長官は13日午前の定例会見で、為替市場の動向について「足元で一方的また急激な動きも見られており、憂慮している」と発言。相場は「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」とし、政府としては「投機的な動きも含め、行き過ぎた動きに対しては適切な対応」を取っていく考えを改めて示した。
重要鉱物
レアアース(希土類)を含む重要鉱物について片山財務相は、国際機関や各国の代表と「今般の中国の措置について懸念が共有された」と述べた。その上で、世界にとってこの問題は喫緊の課題であり、「重要鉱物のサプライチェーンの強靱(きょうじん)化について率直に意見ができて非常に有意義だった」と語った。
レアアースはスマートフォンや電気自動車(EV)、航空機部品など広範なハイテク製品に用いられる。中国は6日、軍事利用が可能なデュアルユース(軍民両用)物資の輸出を全面的に禁止すると発表し、レアアースの規制強化への懸念が浮上。盤石なサプライチェーンの構築は日本を含め各国の経済安全保障上欠かせない取り組みだ。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、中国はレアアースの埋蔵量と生産量で世界首位であるほか、精錬量のシェアは9割を超える。日本が2024年に輸入したレアアース8品目の7割超が中国からだった。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、中国はレアアースやレアアース磁石の日本向け輸出を制限し始めたと報じている。
(円相場の動向を更新し、尾崎内閣官房副長官の発言を追加します)
--取材協力:日向貴彦.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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