米企業の最高経営責任者(CEO)にとって、2期目のトランプ政権から恩恵を享受することは一段と複雑なものになっている。政権が従来型の規制緩和と、大企業へのポピュリスト的介入を組み合わせる姿勢を強めているためだ。

トランプ大統領は今秋の中間選挙を見据え、自身の政治的立場を固める狙いから、企業経営陣に向けた要求や指示を相次いで打ち出している。

防衛関連企業に対しては、自社株買いと配当を制限するよう求める大統領令に署名。資金を生産増強に充てるよう迫り、特にRTXの防衛部門レイセオンを名指しして問題視する姿勢を示した。同社は「パトリオット」ミサイルシステムを米国防総省に納入している。

トランプ氏はまた、ベネズエラを空爆してマドゥロ大統領を拘束した後、大手石油会社が同国石油セクターに巨額の投資を行うとの見方を示した。しかし、石油会社側が自らこうした判断を下しているとは考えにくい。

生活コスト上昇に対する政治的切り札を模索する中、機関投資家による一戸建て住宅の購入禁止に取り組む方針も示した。

一連の動きは、民間部門の事業運営に政府が介入する意欲を示している。これは現代において前例のないレベルであるとともに、過去数世代の共和党政治家には考えられなかったような事態だ。

企業の間には、政権のこうした取り組みを押し返そうという動きもある。経済に広範な影響を及ぼす関税措置を巡っては、1000社超の企業が法廷闘争に加わっている。

トランプ氏は9日、シェブロンやエクソンモービル、コノコフィリップスなど大手石油会社の幹部をホワイトハウスに招き、ベネズエラへの投資について話し合った。

トランプ氏は席上、ベネズエラ石油部門の再建に向け、各社の資金で1000億ドル(約15兆7900億円)を投じると意欲的に表明した。しかし石油業界内では、原油価格の動向と政治情勢から見て投資リスクが高いとの声が聞かれる。

エクソンのダレン・ウッズCEOは、同社資産が過去に2度、ベネズエラ政府によって接収されたことを挙げ、「今の段階で投資は不可能だ」と述べた。

トランプ氏は石油会社幹部との会合を終えた後、クレジットカード金利の上限を1年間、10%に設定するよう求めるとトゥルース・ソーシャルで表明。1月20日付で実施されるとしたが、詳細は明らかにしなかった。

企業幹部らはこれまで、減税や規制緩和、政府債務に関するトランプ氏の政策の多くをおおむね歓迎していた。政権への対応は現在ほど難しいものではなかった。

コンサルティング会社の幹部は9日、顧客企業の間ではトランプ政権による米企業への相次ぐ介入について例外なく議論が交わされていると述べた。

顧客企業の最大の関心事は、トランプ氏の怒りの矛先が自社に向かうのを避けることであり、仮に標的となった場合にどう対応するかの戦略策定にも注力しているという。

共和党は企業の自由な活動に理解を示す保守政党から、個人的な不満や恨みを抱くトランプ氏に忠誠を誓う組織へと変質した。民間企業に対する政府の介入は、同党にとって少し前まで受け入れ難いものだったはずだが、トランプ氏への追随姿勢を強めている。

防衛企業による自社株買いを制限する方針については、一部の民主党議員から歓迎の声が上がる一方、共和党議員は異例にも反対しなかった。

原題:CEOs on Guard as Trump Rattles Companies With Series of Edicts(抜粋)

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