(ブルームバーグ):年末年始が近づくたびに、ウォール街を代表するストラテジストだった故バイロン・ウィーン氏が毎年、年明けに発表していた「びっくり10大予想」を思い出す。常に示唆に富み、かつ読み物としても面白い内容だった。平均的な投資家なら起こり得ないと考えるが、ウィーン氏本人は「起こる可能性の方が高い」と見なす逆張り的な10のシナリオを提示したものだ。
38回目のびっくり予想リストが2023年1月に発表されて10カ月後、ウィーン氏は死去した。私はこのリストを懐かしく思い今年、自分なりの10大予想を作ることにした。巨匠へのささやかなオマージュだ。
私の「2026年の10のサプライズ」を紹介しよう。
1. アルファベット傘下のウェイモのロボタクシーが、米国のより多くの都市で運行を開始する。利用が急増し、蓄積されるデータでロボットの方が人間より安全運転であることが確認されていく。都市中心部での人間による運転を禁止すべきかどうかを巡る議論が始まる。
2. ニューヨーク市のマムダニ市長による家賃凍結の試みは、大手不動産所有者によって阻まれる。市は新規建設の促進や、居住実態のない所有者への課税へと政策の軸足を移し、その結果を見越して家賃が若干下落する。
3. 宇宙開発企業スペースXの新規株式公開(IPO)を巡る期待が、テスラ、X、ボーリング・カンパニー、ニューラリンク、xAIを含むイーロン・マスク氏の企業群の価値を押し上げる。マスク氏は世界初の「1兆ドル資産家(トリリオネア)」となる。
4. トランプ米大統領が利下げを求め続けるにもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)は26年に政策金利を引き下げない。
5. 米連邦最高裁は、軽微な修正を加えた上でトランプ氏の関税措置を容認する。関税は、一時的にも持続的にも、インフレに目立った影響を及ぼさない。
6. 暗号資産(仮想通貨)ビットコインは25年10月の最高値を試すが、上回ることはない。複数年にわたるボラティリティー(変動性)は低下を続け、価値の保存手段として成熟したとの期待が高まる。ビットコイン連動型の仕組み金融商品が相次いで投入され、ベビーブーマー世代に販売される。
7. 米株式相場のバリュエーションが低下し、人工知能(AI)バブルへの懸念が和らぐ。バリュエーション低下は、多くが懸念するような持続的な調整によるものではなく、株価と企業利益の伸び悩みが重なった結果として起きる。
8. トランプ氏の和平努力にもかかわらず、米国はアフリカと中東の紛争に引き込まれる。シリアでは宗派間の緊張が高まり、事実上の分断が進む。
9. 26会計年度の連邦財政赤字が国内総生産(GDP)比3%を大きく上回るにもかかわらず、米10年国債利回りは4-5%のレンジにとどまる。議会に財政規律を迫る圧力にもならず、住宅ローン金利低下にもつながらない。
10. 米企業のファンダメンタルズがより強固であるにもかかわらず、米ドル安の進行が追い風となり、海外株が2年連続で米国株を上回る運用成績を上げる。
そして以下は、起こる可能性は高くないものの、多くの投資家の想定以上に実現性があると私が考えるシナリオで、ウィーン氏が「番外編」と呼んでいたものだ。
- 次期FRB議長は、金融政策判断におけるリアルタイムデータの活用を強化し、従来の調査ベースの政府統計の利用と重要性はさらに低下する。
- 米国はロシアへの投資制限について、ウクライナとの緊張緩和を受け解除する。ロシア関連資産の価格は急騰する。
- 米証券取引委員会(SEC)は、労働者に関する情報、特に賃金や離職率の開示を企業に義務付ける新規則を導入する。その結果、生活費が賄える賃金を得ている労働者は企業が認めているより少ない一方、進歩派が懸念しているほど少なくはないことが明らかになる。
このリストを気に入っていただき、来年も読みたいと思われたなら、ぜひ知らせてほしい。26年についてのあなた自身の予測も併せて聞かせてもらえるとうれしい。新年おめでとう。
(ニール・カイザー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を必ずしも反映するものではありません)
原題:Ten Unexpected Things 2026 May Bring: Nir Kaissar(抜粋)
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