高市総理の台湾有事をめぐる国会答弁に反発を続ける中国政府。
今年に入ってからも日本への渡航を控えるよう注意喚起を繰り返し、1月に予定されていた日本の経済界の代表による北京訪問も延期となるなど関係改善に向けた見通しは立っていません。
こうしたなか、中国で活動する日本企業は2026年をどのように乗り切ればよいのか?中国で日本企業のビジネス展開支援などを行っている日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所の森永正裕副所長に聞きました。
※インタビューは去年12月16日に行いました。
日中関係悪化で「旅行」「航空」「エンタメ」に打撃
Q.日中関係の悪化は中国で活動する日本企業にとってどのような影響がありますか?
森永副所長
現時点で最も影響を受けているのは、人的往来の激減によって収益が悪化している旅行関係の企業や航空会社などが挙げられると思います。現在、日中間の航空便は便数も減っていますし、既存の便も小型機に変更していますが、それでもだいぶ空席率が高い状況になっているようです。
次に影響が大きいのは、音楽や映画など文化関連の産業が挙げられると思います。浜崎あゆみさんをはじめとした多くの日本人アーティストのコンサートなどが中止になっています。すでに開催が決定し準備が進められていたコンサートが中止に追い込まれ大きな損失が出ています。関係者の中には、当面の間、中国で日本人のコンサートや日本関係の文化イベントを実施するのは厳しいだろうという見方がありますので、そうなってくると機会損失が計り知れないというようなことも言えるかと思います。
今、中国が実施している措置、サービス分野における非合理的な規制についてはGATS=サービスの貿易に関する一般協定(サービス貿易の障害となる政府規制を対象とした多国間の国際協定)の枠組みによる対抗措置を検討してもいいのではないかと指摘する専門家もいます。私も個人的にはそういった対抗措置も十分にあり得るのではないかと思います。
もう一つの特徴としては、過去に日中関係が悪化したときとは異なり、今回は反日デモのような市民の行動はほとんど見られません。中国政府も今回それは望んでいないというように思います。
通商貿易に関して1つ言えるのは、中国政府による日本産水産物や日本産牛肉の輸入禁止措置について、日本側は措置の撤廃を期待しているところですが、残念ながらこの問題の解決については若干遠のいたという見方が現実的だと思います。