(ブルームバーグ):米軍によるベネズエラ空爆とマドゥロ大統領夫妻の拘束は、地政学的に極めて重大な出来事だが、世界の石油市場はおおむね冷静に受け止める見通しだ。
事情に詳しい複数の関係者によると、米軍は首都カラカスや他の州を攻撃したが、ベネズエラの石油関連インフラへの影響は確認されていない。ホセ港やアムアイ製油所といった主要施設、油田地帯のオリノコベルトは引き続き稼働可能だという。関係者らは機密事項を理由に匿名で語った。
かつて有力な産油国だったベネズエラだが、生産量は過去20年間に急減し、今では世界の供給に占める割合が1%に満たない。
トランプ米大統領は3日の記者会見で、ベネズエラ石油産業への制裁は維持するとした上で、米国の石油会社がインフラ再建と生産回復を支援するだろうと述べた。ただ、こうした再建は極めて野心的で、実現は当面先になる公算が大きい。
国際エネルギー機関(IEA)の推計では、世界の石油供給量は2026年に需要を日量380万バレル上回り、記録的な供給過剰になる見通しだ。
A/Sグローバル・リスク・マネジメントのチーフアナリスト、アルネ・ローマン・ラスムッセン氏は「ブレント原油価格は4日夜の取引開始時点で、1-2ドルあるいは、それ未満のわずかな上昇にとどまる」と予想。
「通常の状況下でも、この規模の混乱は市場にとって対応可能だ。特に季節的な需要の弱さやOPECプラスの生産増強を背景に、第1四半期(1-3月)は大幅な供給超過になることを、あらゆる予想が示している」と述べた。OPECプラスは石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成されている。
一方、ライスタッド・エナジーの地政学分析責任者、ホルヘ・レオン氏は「強制的な政権交代時に原油供給が迅速に安定した例は、過去にほとんどない。リビアやイラクがその明確な前例だ」と指摘した。
OPECプラスは4日に会合を開催する予定。参加国の代表3人は2025年暮れに、会合で増産の一時停止維持を決めるとの見通しを明らかにしている。ベネズエラはOPEC加盟国。
米石油大手シェブロンは、トランプ政権による制裁免除措置の下、ベネズエラでの操業を続けている。
同社は3日、「従業員の安全と福祉、および自社資産の保全を引き続き最優先にしている」とのコメントを発表。「関連する全ての法律と規制を完全に順守して操業を続ける」と述べた。
原題:Oil Market May Absorb Maduro Shock as Global Supplies Swell (1)(抜粋)
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