トランプ米政権がベネズエラで展開した軍事作戦が、中国の台湾侵攻に対する抑止力として働くとの見方が台湾で浮上している。中国製の武器を装備したベネズエラ軍を打ち負かす米国の能力が示されたことも、台湾の安全保障関係者の間で歓迎されている。

安保担当の台湾高官は、南米ベネズエラのマドゥロ大統領拘束・連行につながった今回の軍事行動に言及。トランプ大統領が米国の国益に深く絡む国際問題について、軍事力を行使し得ることが示され、こうしたメッセージを強く受け取ったのは中国共産党の習近平総書記(国家主席)ら権威主義的な指導者だと指摘した。

機密事項について公に発言する権限がないとして匿名を条件に語ったこの高官によれば、こういった展開は半導体製造の世界的中心である台湾にとって安心材料だという。

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同高官はまた、国際法違反と見られるトランプ政権の行動が中国政府を大胆にさせるという見方を台湾当局は否定しているとも説明。中国は台湾を自国領土の一部と見なしているため、国際法は中国の判断材料にならず、中国に欠けているのは能力であって先例ではないという。

軍事力解体

米軍による3日のベネズエラ空爆とマドゥロ氏拘束を受け、中国のSNS上ではナショナリズム的な投稿が急増。中国が台湾との緊張に対処する際に米軍の手法がモデルケースとなるとの意見が拡散された。

中国外務省はコメント要請にすぐに応じなかった。台湾国防部(国防省)はコメントを控えた。

米国は数十年にわたり、台湾最大の武器供給元となっている。対照的に、南米最大の中国兵器の買い手はベネズエラだ。

台湾国防部の徐斯儉軍政副部長は5日、「ロシアや中国からベネズエラが入手した兵器と比べ、米国の装備がより高度であることが完全に判明した」と立法委員(国会議員)らに伝え、「ベネズエラの問題は、武器供給国だけではない。最も重要な問題は、武器のメンテナンスだ」と指摘した。

中国の防衛システムが機能不全に陥ったり、保守の問題に悩まされていたという証拠はない。米国はベネズエラ国内に広範な情報源を有しており、それが軍事展開に効果を発揮した可能性があると主張している。

トランプ政権が深夜に行った作戦では、米軍がベネズエラの防空システムを無力化した後、150機以上の航空機が同国上空を飛行。マドゥロ氏の居場所を特定していた米陸軍特殊部隊「デルタフォース」がマドゥロ夫妻を拘束した。

台湾で安保を担当する別の高官は、ベネズエラの軍事力が米軍によって数時間で解体された事実は、中国に多くの再考を促すとみられると話した。

台湾のSNSでは意見が分かれている。トランプ政権のベネズエラ作戦が中国を鼓舞するのではと危惧する声が上がる一方、中国・ロシアと緊密な関係にある国々に対する米国の一段と厳しいスタンスが示され、米政府がインド太平洋地域に軸足さらにシフトする契機になるだろうと楽観視する意見もあった。

原題:Taiwan Sees Trump’s Arrest of Maduro as Helpful in Deterring Xi(抜粋)

--取材協力:Alan Wong、Colum Murphy.

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