米国の圧力に長年抵抗し続けたベネズエラのマドゥロ大統領の統治に終止符を打ったのは、米軍特殊部隊による3時間足らずの作戦だった。

ベネズエラの防空網を無力化した後、150機余りの米軍機が同国へなだれ込み、大統領が夜を過ごしていた軍事基地に米陸軍の特殊部隊「デルタフォース」が突入。鉄の扉を突破して大統領夫妻を拘束した後、夫妻をニューヨークで裁判にかけるため、ヘリコプターで米軍艦に移送した。

トランプ米大統領は3日、マドゥロ氏は「安全な場所へ逃げようとしていた。非常に厚く重い扉だったが、彼はその扉にたどり着けなかった。扉までは到達したが、閉めることができなかった」と説明した。

ライブ映像で状況をリアルタイムで見守っていたトランプ氏は、首都カラカスで爆発が伝えられ始めた際も沈黙を守り、マドゥロ氏を乗せたヘリが危険を脱した段階で初めてソーシャルメディアを通じて拘束を発表した。

この電撃作戦は、トランプ政権1期目から始まった、長年のマドゥロ氏追放への取り組みの集大成だが、今後のリスクもはらんでいる。トランプ氏は3日の記者会見で、米国がベネズエラを「運営する」と表明。今後についての疑問は多く残るが、米当局者らは、今回の軍事作戦は迅速かつ決然と行われたものであり、大統領が好む性質のものだったと語った。

計画が動き出した兆しは、カラカスの住民が、ごう音を立てて飛ぶ航空機や爆発音を耳にし始めたことだった。映像には、現地時間3日午前2時過ぎ、市内の標的に命中するミサイルや、夜空にロケット弾を放ち閃光(せんこう)を放つヘリが映っている。

目撃証言によると、複数の地域で停電が発生。軍務省に近いフエルテ・ティウナやラ・カルロタ空軍基地では煙と火の手が確認された。

米国は昨年夏からカリブ海に軍事力を集結させていたが、マドゥロ氏を拘束した特殊作戦部隊は、民間人への被害を最小限に抑え、奇襲効果を最大限に高める機会を狙い、12月初旬から待機していた。

作戦に詳しい関係者によれば、トランプ氏はルビオ国務長官、ヘグセス国防長官、ミラー大統領次席補佐官、中央情報局(CIA)のラトクリフ長官ら少数の側近とともに計画を進めた。

同関係者によると、CIAの小規模チームが8月からベネズエラに潜入し、マドゥロ氏の生活パターンの情報を提供していた。

ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、CIA当局者はベネズエラ政府内部の情報源の協力を得て、拘束に至る数日間のマドゥロ氏の所在を追跡し、ステルス無人機でも動きを監視していた。また、米国はマドゥロ氏拘束につながる情報に対し5000万ドル(約78億円)の懸賞金を提示していた。

ケイン統合参謀本部議長によると、ドローンでマドゥロ氏の動きを監視し、食事から服装に至るまであらゆる詳細を追跡していた。

デルタフォースの隊員らは、マドゥロ氏の隠れ家の模型を使って突入の予行演習を行った。悪天候による延期を経て、クリスマスと新年を挟む数週間、適切な条件が整うのを待った。

「天候が何とか回復し、世界で最も熟練した飛行士だけが操縦できる道が開かれた。海、山、低い雲底という悪条件下だった」とケイン氏は説明した。

ケイン氏によれば、米国は西半球全域の陸上・海上の20の拠点から航空機を発進させた。これにはB-1爆撃機やF-22、F-18、E/A-18、F-35戦闘機、E-2警戒機、回転翼機、「多数の遠隔操縦ドローン」が含まれた。

米軍部隊は、トランプ氏が命令を下してから約2時間後にカラカスのマドゥロ氏の居住区に到着。ケイン氏によれば、1機が銃撃を受けたものの、飛行を継続でき、他の機とともに帰還した。

米軍部隊は約2時間半以内に洋上へ出て、マドゥロ氏と妻をイオー・ジマ級強襲揚陸艦へ移送した。

トランプ氏は3日朝の記者会見の数分前、ナイキのスエットスーツを着たマドゥロ氏の写真を投稿。麻薬取締局(DEA)捜査官の隣で両手を縛られて目隠しされている。

マドゥロ氏の拘束と移送は始まりに過ぎないかもしれない。トランプ氏は3日、米国は「地上軍の投入を恐れていない」と述べた。さらに、米国はより大規模な攻撃計画を持っており、もしマドゥロ氏の後継者が非協力的であれば、同様の任務を再び遂行する準備ができていると語った。

原題:US Says Raid Months in the Making Captured Maduro in Just Hours(抜粋)

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