米電気自動車(EV)メーカーのテスラ(Tesla Inc.)の株価は2025年、好パフォーマンスで幕を閉じた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が掲げる自動運転への期待から投資資金が流入した格好だ。一方、実需面では顧客の支持獲得に苦戦を強いられている。

世界で最も時価総額の大きい自動車メーカーである同社の株価は25年下半期に急騰した。マスク氏が人工知能(AI)とロボティクスの進展を強調したことが背景だ。だが、こうした期待は販売現場には波及していない。25年7-9月(第3四半期)に過去最高の販売台数を記録したにもかかわらず、直近6カ月では前年同期を下回った可能性が高い。

ブルームバーグが集計したデータによると、テスラが2日に発表する10-12月(第4四半期)の納車台数は前年同期比11%減の約44万900台となる見通し。テスラが今週、自社ウェブサイトに掲載したアナリストによる納車台数予測は前年同期比15%減の42万2850台だった。

ウォール街の26年予測も慎重だ。2年前には300万台超が見込まれていた納車台数予測は、現在では平均180万台前後へと大幅に切り下がっている。

CFRAリサーチの株式アナリスト、ギャレット・ネルソン氏は「投資家は5年後、10年後、15年後にテスラがどうなっているかに焦点を当てており、足元で見えるものを軽視している」と指摘。「問題は逆風が財務によりはっきり表れてくると想定される時にそれを維持できるかだ」と述べた。

 

25年は激動の年だった。1-3月(第1四半期)の販売台数は前年同期比で13%減少し、ほぼ3年ぶりの低水準となった。スポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」の新型車生産に向け世界的に工場を改修したことが減産につながったほか、マスク氏が国際政治に関与したことに対し、米欧各地で抗議行動が起きたことも大きな要因となり、株価は4月上旬時点で25年初から45%下落した。

その後、マスク氏が政府との関わりを後退させ、6月に自動運転タクシー「ロボタクシー」のサービスを始動させたことなどで株価は反転。安全面での課題指摘をよそに投資家の楽観論が先行し、12月16日には終値で過去最高値を更新。時価総額は約8カ月で9150億ドル(約143兆円)余り増加した。

先行きには課題も多い。中国市場では比亜迪(BYD)や小米(シャオミ)が運転支援機能を標準装備し、テスラの優位性が揺らいでいる。世界全体のEV販売台数では、BYDが5四半期連続でテスラを上回る公算が大きい。

マスク氏は米国におけるEVの優遇措置の終了により、今後数四半期は「厳しい」局面になる可能性を示している。

 

原題:Tesla Sales Outlook Darkens Despite Musk’s Self-Driving Euphoria(抜粋)

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