(ブルームバーグ):中国は、公式デジタル通貨の利用拡大を促す新たな取り組みとして、利息の支払いを開始する。約10年に及ぶ開発と実証実験を経て、普及を後押しする狙いだ。
中国人民銀行(中央銀行)の陸磊副総裁は、人民銀系の金融時報に掲載された記事で、デジタル人民元ウォレットを運営する商業銀行が来年1月1日から、保有額に応じて顧客に利息を支払うと明らかにした。
この措置は、公式デジタル通貨の開発で国際的に先行してきた、中国の新たな一手だ。2014年に人民銀が着手したデジタル人民元プロジェクトについて、中国は商業銀行の預金と同等の法的地位を与えることで法的・技術的枠組みを見直す。
デジタル人民元の普及は順調には進んでいない。中国本土の半数超の地域で試験的に導入されているが、全国的な正式運用には至っていない。「ウィーチャットペイ(微信支付)」や「アリペイ(支付宝)」といった既存プラットフォームとの競争の中、普及は伸び悩んでいる。
利息を付与するという新たな仕組みがデジタル人民元の大幅な普及につながるかどうかは見通せない。利下げを進めた結果、中国の主要銀行で要求払い預金の金利は0.05%まで低下した。家計の貯蓄が増え、貸し出しの伸びが過去最低水準に落ち込む中、銀行も多額の預金の扱いに苦慮している。
陸氏によると、デジタル人民元の取引件数は11月末時点で計34億8000万件、16兆7000億元(約372兆円)相当となっている。
原題:China to Pay Interest on Digital Yuan in Bid to Boost Adoption(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.