29日の日本市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)した。日本銀行の金融政策決定会合「主な意見」で利上げ継続姿勢が示されて債券が売られた。円は小幅上昇、株式は日経平均株価が下落した。

10年国債利回りは2.055%まで上昇した。1999年2月以来の高水準を更新した22日以来の水準になる。日銀が29日公表した金融決定会合(18、19日開催)の「主な意見」では、適切なタイミングでの金融緩和度合いの調整が必要だといった意見があった。金利上昇で円は対ドルで一時156円台前半まで値上がりした。株式はハイテク株中心に日経平均が下落した。

植田日銀総裁

市場参加者が年末年始で少ない上に相場を動かす要因も内外とも乏しく、日銀利上げ姿勢に市場が改めて反応した。日本の物価は伸び悩む兆しが見えており、インフレ動向と日銀の利上げペースを市場は読んでいくことになる。

みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは日銀「主な意見」について「次の利上げをすでに見据えたとみられるものが中心で全体的にタカ派的な内容だ」と29日付リポートで評価した。次回利上げは今回からおおむね半年後の26年6月または7月辺りがまずは有力だと考えているとした。

債券

債券相場は下落。夜間取引で先物が上昇した流れを引き継ぎ先物は買いが先行したが、日銀「主な意見」を受けて押し戻された。

10年債以外でも20年債利回りが上がり、40年債は午後3時過ぎに6.5bp高い3.655%まで上げた。新発2年債利回りは1bp高い1.16%と1996年以来の高水準。

オリックス生命保険資産運用部の嶋村哲マネジング・ディレクターは「主な意見」について、「政策変更時の意見となるため、利上げを肯定化する内容が満載で、今回の主な意見をもって金利低下に転換する内容はほぼないとみる」と述べた。

もっとも、現行政策金利での経済への影響をモニタリングする期間がどの程度かがポイントだが、政策変更直後なので明記されておらず、こちらは債券の買い、売り双方の材料にはならないと考えるとした。

その上で「6カ月後の利上げを前提に2年、5年金利が落ち着くと10年金利の居所探りに入ると思っている」との見方を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

外国為替市場で円は対ドルで一時156円付近まで上昇した。日銀「主な意見」で、政策金利の引き上げを決めた決定会合では低い実質金利などを背景に、政策委員から先行きも利上げ継続が必要との意見が相次いでいたことが分かった。円はG10通貨で唯一ドルに対して上昇した。

ある委員は、利上げの理由について「現状の金融環境が経済実態からみて、過度に緩和的になりつつある」と指摘。その上で、今後も「適切なタイミングでの金融緩和度合いの調整が必要だ」と主張した。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、商いが薄く、ニュースヘッドラインで相場が動きやすいと指摘。「主な意見」のほかに中国の台湾軍事演習がきっかけとした株安、円買いがあった可能性があるとした。

中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は29日、台湾周辺の海空域で軍事演習を同日から実施すると発表した。

株式

株式は日経平均が反落。為替が円高方向に振れたことで電気機器や輸送用機器など輸出企業の一角が売られ相場の重しになった。トヨタ自動車や日立製作所などの大型株やハイテク株が売られた。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は相場下落について、26日に配当や優待の権利付き最終の買いが多かったとして「その反落だろう」と述べた。

一方で米エヌビディア株の上昇を受けて非鉄の中でのデータセンター関連株の一角が買われた。商社や銀行などの高配当株も上げ、TOPIXは上昇して取引を終えた。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、3月の配当権利落ち日を前に12月から2月末にかけて、高配当株が買われやすい傾向があると指摘。市場参加者が限られる中で、きょうは商社株や銀行など配当利回りの高い銘柄に資金が向かい始めていると話した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:アリス・フレンチ.

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