財務省が25日に実施した2年利付国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.26倍となり、過去12カ月平均(3.65倍)を下回るなど弱めの結果だった。

応札倍率は前回(3.53倍)も下回ったほか、最低落札価格は99円92銭と市場予想(99円95銭)より低かった。大きいほど入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭2厘と前回(1銭2厘)から拡大した。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、応札倍率、最低落札価格、テールと「良いところはなく、やや弱い結果だった」と語る。午前中に先回り買いにより金利が低下したことで買いづらさがあったと指摘。2、5年債は年明け以降も補正予算後の増発が意識されて金利は上昇方向だろうと予想する。

入札結果を受けて、新発2年国債利回りは上昇に転じ、前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.11%を付けた。

日本銀行は19日に約1年ぶりとなる利上げに踏み切り、政策金利を30年ぶりの水準である0.75%に引き上げた。利上げは通常、通貨高要因となるが、植田和男総裁の記者会見を受けて今後も利上げペースは緩やかにとどまるとの認識が広がり、一時円安が進行。インフレ懸念がくすぶる中、入札が順調に消化されるか警戒する見方が一部で出ていた。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは入札が弱めの結果となったことについて、日銀の利上げがインフレ抑制で後手に回る「ビハインド・ザ・カーブへの警戒感が一番の理由ではないか」と指摘する。

市場のインフレ期待を表すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は22日に1.85%と過去最高を更新。市場が想定する利上げ到達点を示す指標は1.6%近辺に上昇した。日銀がインフレを抑制できず、より高い水準への利上げを迫られるとの見方から、金融政策動向を反映する新発2年債利回りは1.12%と1996年以来の高水準を付けた。その後、片山さつき財務相の円安けん制発言もあり、円安や金利の急上昇は一服した。

26日には来年度当初予算案が閣議決定され、国債発行計画が明らかになる。財務省が超長期債の減額を含め発行総額を当初計画比で約7兆円減の17兆円程度とする方向で調整に入ったとの報道を受け、25日午前の債券市場では超長期債を中心に全ての年限で利回りが低下していた。

(第6段落にコメントを追加して更新します)

--取材協力:山中英典.

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