(ブルームバーグ):キューバが燃料不足に苦しむ中、メキシコが同国への原油出荷の全面停止を決定した。キューバにとっては新たな打撃となり、月間ベースで10年ぶりに石油輸入が全くなかった。
トランプ米大統領が先月、ベネズエラのマドゥロ大統領の拘束を命じ、キューバにとって最も信頼できる友好国だったベネズエラからの燃料提供も止めた後、メキシコはキューバ最大の原油供給国として浮上していた。
ブルームバーグの試算によると、メキシコによる月次の原油出荷は、キューバが約1カ月分のガソリン需要を賄うのに十分な量の生産を可能にしていた。だが、メキシコのシェインバウム大統領は9日、キューバに石油を販売、または供給する国からの輸入品に関税を課すとのトランプ氏の脅しを受け、原油出荷を「保留している」と確認した。
海運リポートや調査会社ケプラーのデータによると、キューバの原油輸入は1月に2015年以降で初めてゼロになった。米国が昨年12月、ベネズエラやロシアなどから制裁対象の原油を運ぶ「影の船団」の船舶を追跡するため海上封鎖を開始して以降、出荷量は脅かされていた。
トランプ大統領は反米左派マドゥロ大統領の拘束後、キューバの社会主義体制も弱体化させようとしており、燃料供給を巡る圧力がキューバ経済を締め付けている。
首都ハバナのガソリンスタンドでは、給油待ちが悪化する一方となっている。国内では調理用ガスから水、電力に至るまで、全てが不足している。ジェット燃料が足りず、キューバ政府は今後1カ月間、島内で燃料を補給できないと航空会社に通告。少なくとも2カ所の大型ビーチリゾートがガソリン不足のため閉鎖される予定となっている。
キューバは1960年代から米国の制裁対象だが、人道支援と位置付けられたメキシコからの原油供給は認められてきた。ケプラーのデータによると、キューバは昨年、輸入原油需要の80%近くをメキシコとベネズエラで賄っていた。
シェインバウム大統領は9日、キューバの原油輸入を締め付けるトランプ氏の動きを非難。「これは正しくない。病院や学校向けの燃料がない。人々が苦しんでいる」と述べた。
米軍は昨年12月、キューバが約3カ月分のガソリン需要に相当する燃料を製造できる原油を運んでいた船舶を拿捕した。ケプラーのデータによれば、キューバで原油を荷揚げした最後の船舶が到着したのは12月末で、米軍によるベネズエラ軍事作戦の数日前だった。
キューバは情報を開示していないため、自動車燃料の供給がどれだけ続くのかを見積もるのは難しい。
政府当局者は2024年、キューバのガソリン需要が1日当たり約8200バレルに上り、制裁や封鎖の中で、辛うじて満たされている程度だと異例の発言を行っていた。
原題:Cuba Gets No Oil for First Time in a Decade as Mexico Pulls Back(抜粋)
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