景気減速の顕在化と中銀に高まる利下げ圧力

中銀が断続的な金融緩和を進める背景には、前述のようにインフレが着実に鈍化していることに加え、戦時経済が長期化するなか、足元のロシア景気の勢いに陰りがでていることも影響している。

インフレ鈍化や中銀による断続的な利下げ実施にもかかわらず、7-9月の実質GDP成長率(改定値)は前年同期比+0.6%と前期(同+1.1%)から鈍化して2年半ぶりの低い伸びとなった。

前期比年率ベースの成長率も+0.39%と前期(同+1.09%)から拡大ペースも鈍化しており、1-9月までの経済成長率は+1.0%と昨年通年(+4.3%)から減速している。

さらに、年明け以降の実質GDPの水準は昨年末時点を下回るなど、過去1年にわたって経済成長できていない状況が続いている。

ロシア国内では年明け以降、プーチン大統領のみならず、政権内部から中銀の政策運営に対する『注文』が相次ぎ、こうした動きに呼応するように経済界からも中銀に公然と利下げを求める声が広がった。

こうしたなか、中銀はインフレ鈍化が確認されたことを受けて、断続的な利下げに動いてきた。

しかし、プーチン大統領は定例会合と同じ19日に行った年末恒例の記者会見のなかで、足元の景気減速について「中銀がインフレ対策を目的に金融引き締めを行った結果」と指摘するなど、暗に中銀に対してさらなる利下げを求めている可能性がある。

なお、記者会見の最中に中銀が利下げを決定したことを問われた際には「中銀は独立しており、その決定に介入することはない」、「中銀はインフレが加速しないよう注意深く行動しており、その責任がある」と述べるなど、中銀の判断を尊重している様子がうかがえる。

その一方、経済界からは早くもさらなる利下げを求める声が出るなど、中銀を取り巻く環境は厳しさを増している。