物価高対応:マイカー通勤、少額減価償却資産などの基準額を引き上げ
物価高を受けた対応が複数盛り込まれたことも今回の改正の特徴だ。先の基礎控除等の引き上げもその一環であるが、ほかにもいくつかの改正がなされている。
まず、長年据え置かれてきた各種の税制上の基準額が物価上昇を踏まえて網羅的に見直された。
マイカー通勤の通勤手当に係る所得税非課税限度額は、片道65km以上の長距離通勤者について新たに距離区分を細分化し、最大で月額66,400円まで引き上げられる(現行は55km以上で一律38,700円)。
また、駐車場料金についても月額5,000円を上限に非課税限度額への加算が可能となる。
食事支給に係る非課税限度額も大幅に引き上げられる。使用者負担額の上限が月額3,500円から7,500円へと2倍以上に、深夜勤務の夜食代も1回300円から650円へと引き上げられる。これらは1980年代から据え置かれていた基準であり、実態との乖離が著しくなっていた。
また、少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の対象が30万円未満から40万円未満に引き上げられる。これにより、中小企業がパソコンやソフトウェアなどのIT機器を導入する際の税負担が軽減される。
厚生農業協同組合連合会の差額ベッド料金基準が5,000円以下から1万円以下に引き上げられるなど、物価上昇に対応した水準への調整が幅広く実施される。