租税特別措置のメリハリ付け:大企業向け賃上げ促進税制は廃止に

各税の租税特別措置については、法人税を中心に見直しが行われる。

昨年の税制改正大綱においても、過去に実施されてきた法人税率の引き下げについて、設備投資促進や雇用賃上げ促進等の効果が薄かったと評価してメリハリ付けの必要性が示されていた。

今回、これらが改めて記述されるとともに、いくつかの租税特別措置の見直し・縮小が実行に移されることになる。象徴的なものが賃上げ促進税制の縮小だ。

一定の雇用や賃金の増加の要件を満たした企業に対する減税措置として実施されてきたが、大企業向けを2026年3月末で廃止、中堅企業(常時使用従業員2,000人以下)向けは2026年度に継続雇用者給与等支給額の増加要件を現行の3%以上から4%以上に引き上げたうえで2027年3月末に廃止、中小企業向けは現行制度を維持することが示された。

一定の賃上げが定着しつつあることを受け、政策の必要性が薄れたとの判断のもとで制度の縮小が行われる。

また、研究開発税制については、AI・量子・半導体・バイオ・フュージョンエネルギー・宇宙の6分野を「戦略技術領域」として指定し、これらの分野では40%(認定機関との共同・委託研究は50%)の高い税額控除率を適用する一方、海外への委託研究については税額控除の対象を段階的に縮小し、2025年度は70%、2026年度は60%、2027年度は50%まで引き下げる。

国内の研究開発基盤強化の観点から、国内での研究活動を促進する狙いがある。

設備投資減税については、新たに「特定生産性向上設備等投資促進税制」が創設された。

投資額35億円以上(中小企業は5億円以上)で年平均投資利益率(ROI)15%以上という要件を設定したうえで、即時償却または7%(建物等は4%)の税額控除を可能とする。

これにより、真に生産性向上に寄与する大規模投資に支援を集中させる方針が明確になっている。