(ブルームバーグ):楽天グループは、人工知能(AI)チームを拡充し、コスト効率を重視したモデル構築を進めている。今年1000人規模に拡大した同チームは、数千に上るエヌビディア製チップを活用できる体制を整えた。
同社は、苦戦するモバイル事業とオンラインショッピング分野での激しい競争に直面している。一方で、新たなAIツールを効果的に導入できれば大幅な成長が見込める。他の大手テクノロジー企業と異なり、楽天は導入の早い段階から収益性を重視する。
AIチームを率いて3年目に入ったティン・ツァイ専務執行役員(53)は、楽天Gの多様な事業を支援し、最小限のコストで商取引を処理するAIシステムの開発を担っている。同氏はインタビューで「楽天はビジネス志向が強く、最新技術を顧客の課題解決に利用している」と語った。事業全体で展開するには高い収益性の確保が不可欠で「だからこそ、生成AI導入でコスト削減が極めて重要になる」と強調する。
楽天Gは18日、大規模言語モデル(LLM)のバージョン3を発表した。既存の同等LLMと比べ運用コストを90%削減できるとしている。タスクを細分化し、各サービスの用途に応じた小規模なモデルを開発する手法を採用。バージョン3では、約7000億個のパラメータのうち、トークンごとに約400億個のパラメータのみを稼働させ、残りを非稼働で維持することで効率性を高めた。
楽天Gは、AI関連機能の営業利益への寄与額を2025年に倍増させる目標を掲げる。2024年の実績は105億円だった。広告のターゲティングや配置の最適化により、楽天オンラインストア出店者の投資対効果は改善。人間の意図をくみ取ったセマンティック検索とパーソナライズド推薦は、利用頻度とクリック率の向上につながっている。
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