(ブルームバーグ):外国為替市場では、日本銀行が19日に政策金利を30年ぶりの高水準に引き上げた後も円安傾向が続いている。円が対ドルでさらに下落した場合、通貨当局が為替介入に踏み切るかどうかを市場は注視している。
片山さつき財務相は22日、ブルームバーグとの単独インタビューで、9月の日米財務相共同声明を踏まえ、為替の過度で無秩序な動きに対しては断固として措置を取ると発言。19日の植田和男日銀総裁の会見後に進んだ円安は「ファンダメンタルズではなくて投機だ」とした上で、為替介入の可否には「フリーハンドがある」と述べた。
総裁会見で追加利上げ時期の不透明感などが意識される中、円は一時1ドル=157円78銭と約1カ月ぶりの安値を付けた。政府・日銀は昨年、円が160円前後で推移していた局面で4回にわたり円買い介入を実施。市場ではこの水準が介入に踏み切る一つの目安として意識されている。
それでも日本の通貨当局者は介入の水準があることを否定し、急激で無秩序、あるいは投機的な動きこそが対応を要する事態だと説明している。
日本の当局者は慣例として、為替市場に直接介入する前に慎重に選んだ言葉で市場に警告を発し、実際の行動にどの程度まで近づいているのかシグナルを送る。
当局者が警戒態勢を強めていることを示す重要なサインの一つは、発言が為替市場の状況説明から、具体的な対応に言及する発言へとトーンが変化する時だ。
片山財務相は10月の就任以降、前任の加藤勝信氏や鈴木俊一氏が使ってきた用語をおおむね踏襲してきた。通貨政策を担う三村淳財務官も、24年7月までの3年間に25兆円規模の資金を投じて円を買い支えた前任の神田真人氏の方針を引き継いでいる。
ただ、今回のインタビューで片山氏は、市場の状況はその都度異なるため、介入の手法に定型のパターンはないと指摘。「同じパターンが起きると思う方がおかしい」と語った。
口先介入
通貨当局が強い懸念を示すようになる前の段階では、20カ国・地域(G20)の方針に沿った次のような発言にとどまる傾向がある。
- 為替は経済のファンダメンタルズを反映するのが望ましい
- 急激・急速な為替変動は望ましくない
- 為替レートの過度な変動は経済に悪影響を及ぼす
- 為替レートは市場において決められる
警告を発する前に、通貨当局は特定の為替水準を目標としていないことを明確にすることが多い。
為替変動が大きくなり始める
- 為替動向が経済に与える影響を注視している
- 為替市場の動向を注視している
懸念が強まり警戒感へと変わる
- 円安のマイナス面が目立ってきている
- 足元では一方的、急激な動きが見られる
- 為替動向を憂慮している
- 投機的な動きを含めて為替動向を高い緊張感を持って注視する
介入への警告
- 為替レートは経済のファンダメンタルズを反映していない
- 投機による過度な変動が見られる
- 円安が急速に進んでいる
介入が迫る
- 必要であれば適切な措置を講じる
- 投機的な動きは容認できない
- 行き過ぎた相場の動きに対してはあらゆる措置を排除しない
- いつでも行動を取る準備ができている/スタンバイしている
- 断固たる措置を取る用意がある
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