今年は株式相場が大きく上昇し、強気ムードは2026年に入っても継続しそうな様相を見せている。上値はまだ拡大するとの見方で、市場は一致している。

株式の持ち高は増え、ファンドマネジャーの現金保有比率は記録的な低水準にある。割高な株価水準や巨額の人工知能(AI)投資に対する懐疑的な見方、楽観的な企業収益予想への不安はあるものの、一段高への期待はそれを上回る。

だが、経済に対する楽観は問われ始めている。とりわけ米雇用市場の軟化が最近明らかになり、疑問は強まっている。現時点で市場が織り込んでいる来年の米利下げは2回だけだが、先行きの金利見通しが再び投資家の主要な関心事になる可能性がある。

プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「2026年に向けて、世界経済の成長は続いているものの、不確実性も高まっている」と指摘。「AIを中心とする投資や家計の堅実なバランスシート、的を絞った景気対策による恩恵を米国経済は受け続けているが、構造的なリスクも拡大している。インフレは根強いことが判明し、労働市場の動きは変わりつつある。連邦準備制度には微妙なバランスが求められている」と続けた。

2026年に投資家が主に注目しなければならない点は次の6つだ。

割高なバリュエーション

S&P500の長期株価収益率(PER)は、過去最高水準にある。テクノロジー株が押し上げており、2000年の夏や22年1月に付けた以前のピークを上回った。だが、以前の2回はいずれも、その後に相場は大きく下落した。00年はドットコムバブルの崩壊、22年は金利急上昇を市場が織り込み始めたことが引き金を引いた。

スコット・クロナート氏らシティグループのストラテジストは、「現在の強気相場が4年目に入るなか、ボラティリティーの継続は予期しておくべきだ。潜在的な成長期待を踏まえれば、ボラティリティーはいっそう激しくなる可能性もある」と述べた。「ただ、スタート地点におけるバリュエーションの高さは市場にとって障害ではあるが、克服不可能なものではない。むしろ、それによってファンダメンタルズに対する期待と圧力が一層強まることになる」との見解を示した。

バリュエーションの上昇に伴い、バブルの懸念も台頭し、とりわけテクノロジーやAI関連がその中心にいる。ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)は自らのバランスシートを圧迫しかねないほどの設備投資を計画している。現時点では市場全体で問題にはなっていないが、期待外れの決算発表でクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド(保険料率)が急騰したオラクルのように、債券自警団に襲いかかられるリスクは常にある。

企業収益巡る楽観

市場の好地合いを維持するためには企業が期待通りの収益を上げることが必要で、そのハードルは既に高い。新興国市場を筆頭に全ての地域で2桁の増益が見込まれており、この予想は楽観的過ぎる可能性がある。

アジアは経済成長見通しを達成しなければならず、欧州は財政による刺激策が企業利益に結びつく必要がある。そして米国では、AI革命の持続と雇用市場の底堅さに成長は左右される。

循環物色

過去2カ月の間、ポートフォリオの組み換えを投資家は進めてきた。AIや半導体関連の取引が停滞する一方で、他の魅力的な選択肢へ資金が向かっている。この動きは米国と欧州の両市場で見られるが、地域によってその中身には違いがある。

こうした循環物色は、経済との連動性が高い銘柄やディフェンシブなポジション、出遅れセクターへの投資などが組み合わさり、上昇相場の裾野を広げることに役立っている。

AI関連は収益性や持続性が問われており、こうした状況が続けば、投資家がポートフォリオのテーマを来年にかけてさらに見直す可能性もある。今後2-3回の決算シーズンでは、各業界の健全性について新たな手がかりが得られることから、それに応じて物色先が切り替わる可能性もあるだろう。

新年の季節的要因

新年の年初はリスク志向が高まるという季節的な要因があり、通常は株価への追い風として働く。新規のリスク予算、パフォーマンス評価のリセット、年金への資金流入などが、相場を押し上げることが多い。

株式市場の見通しは1-3月(第1四半期)から4月にかけておおむね前向きではあるが、歴史的に見て1月と2月は極めて好調な月というわけではない。実際、ここ数年は年明けに強い上昇が見られた年もあれば、大幅な下落に見舞われた年もあり、結果はまちまちだった。

選別買い

今年のリターンは主要市場の主力銘柄に大きく集中し、指数を構成する銘柄間の相関は崩れた。この状況は、銘柄選別を得意とする投資家に多くの好機をもたらした。

26年の相場は異なるかもしれないが、勝ち組の裾野が広がり、セクター間で主役が入れ替わる可能性があり、アクティブファンドの運用者がベンチマークを上回る成績を上げる機会が出てきそうだ。

「われわれはリスク選好姿勢を維持しており、AIが米国株を押し上げる主要テーマであり続けるとみている」と、ジャン・ボアバン氏らブラックロックの投資ストラテジストは表明。「ただし、現状はアクティブ運用が有利だ。AIの恩恵が広がり始める中で、AIを構築する企業の間で勝ち組と負け組を選別することだ」との見解を示した。

重いポジショニング

最後に、現状は手持ち資金をほぼ全てつぎ込んでいる様子に見える。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査によると、経済成長から株式、コモディティーに至るまで、投資家は全てに強気で新年に向かっている。

景気拡大局面で高パフォーマンスとなることが多い株式とコモディティーに対するエクスポージャーは、22年2月以来の高水準にある。現金保有比率は運用資産のわずか3.3%と、過去最低だ。

カマクシャ・トリヴェディ氏らゴールドマンのストラテジストは、「主な下振れリスクは、米国の労働市場が悪化し、景気後退のリスクが再び意識されるようになるシナリオだ」と指摘した。

ゴールドマンのチームによれば、市場は現時点で景気後退リスクを低く見積もっている。米国株に対する最大の個別リスクはAIテーマに対する信認の揺らぎだという。そのため、株式のエクスポージャーを地域的にもセクター的にも分散させ、伝統的な景気循環銘柄やヘルスケアなど割安なディフェンシブ銘柄をポートフォリオに一部加えることを、ゴールドマンは推奨している。

原題:Here’s What to Watch as Very Bullish Stock Investors Enter 2026(抜粋)

--取材協力:Sagarika Jaisinghani.

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