金と銀のスポット価格が22日、過去最高値を更新した。地政学的緊張の高まりと米連邦準備制度の追加利下げ観測が広がった。プラチナ、パラジウムは8営業日連続で上昇。

金のスポット価格は1.5%余り上昇し、10月に付けたこれまでの最高値1オンス=4381ドル強を上回った。銀は一時3.4%上げ、1オンス=70ドルに迫った。

先週発表された一連の経済指標が先行きを明確にする材料に乏しく、短期金融市場では2026年に米連邦準備制度が2回利下げすると織り込まれている。

トランプ米大統領は積極的な利下げを求めている。利下げなどの金融緩和は、利息を生まない金や銀にとって追い風となる。

 

貴金属は歴史的な1年の締めくくりを迎えつつあり、金と銀はいずれも1979年以来で最も強い年間上昇率となる勢いだ。銀価格は2倍超に、金は70%近く上昇。各中央銀行による買い入れ増加や、金に連動する上場投資信託(ETF)への資金流入が上昇を後押ししている。

金の上昇には投資家の存在も大きく、政府債務の膨張で価値が目減りするとの懸念から国債やその国の通貨を回避する「ディベースメント取引」も背景にある。ブルームバーグがまとめたデータによれば、金価格に連動するETF(上場投資信託)には4週連続で資金が流入し、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計でも、今年は5月を除く全ての月で金ETFの残高は増加した。

ペッパーストーン・グループのストラテジスト、ディリン・ウー氏は「本日の上昇は、米国の利下げ期待に対する早期のポジション調整で、流動性に乏しい年末の市場が動きを増幅させている」と指摘。米国の低調な雇用の伸びと予想以上のインフレ低下で、利下げ回数の増加に説得力が生じているとウー氏は述べた。

地政学的緊張も、貴金属の安全資産としての魅力を高めている。米国はベネズエラに対する石油タンカー封鎖を強化し、マドゥロ政権への圧力を一段と強めた。

一方、ウクライナは秘密裏にロシアの石油を輸送する「シャドーフリート(影の船団)」のタンカーを地中海で初めて攻撃した。

他の貴金属も上昇し、パラジウムの上昇率は4%を超えた。プラチナは2008年以来初めて、1オンス=2000ドルを突破した。

 

金は過熱感やポジションの偏りが意識されて10月のピーク時に一時調整したものの、その後急速に回復。この上昇の勢いは来年に入っても続きそうな様相だ。

ゴールドマン・サックス・グループなど複数の金融機関は来年も金相場の上昇が続くと予想、基本シナリオとして4900ドルへの上昇を見込みつつ、上振れのリスクもあるとした。供給が限られている金の現物を巡って、ETF投資家が中央銀行と競合し始めているとも指摘した。

原題:Gold and Silver Hit All-Time Highs as Geopolitical Tensions Rise(原題)

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