高市早苗政権の発足から2カ月が経過した。高い内閣支持率を維持しているが、首相は衆院解散カードを温存し、来年度当初予算や物価高、自身の台湾有事を巡る発言を受けて悪化した対中関係などの課題に対応していく構えだ。

高市首相は22日、記者団に対し「今の暮らしへの不安や未来の日本への不安を、安心と希望に変えていけるよう政策を打っていきたい」と意気込みを語った。21日には自身のX(旧ツイッター)投稿で、「危機管理は、国家経営の要諦」と指摘し、近日中に議員宿舎から首相公邸に転居する考えを明らかにした。

報道各社の世論調査によると、高市内閣は7割台の高支持率を維持している。日本経済新聞が19-21日に行った世論調査で、内閣支持率は75%と、3カ月連続で7割台だった。同期間の読売調査では73%。20、21両日の朝日調査と共同通信でもそれぞれ60%台後半の高水準だった。

就任以来、最初の重要課題だった2025年度補正予算は与党に加え、国民民主、公明両党など一部野党も賛成し、成立した。物価高に直面する中、日本銀行の利上げを容認したが、その後も円安は進行。長期金利(新発10年債利回り)も1999年以来の2%台に上昇した。日中関係の悪化で経済への影響も懸念され、課題は山積している。

共同通信が20、21両日に行った世論調査によると、台湾有事を巡る高市首相の国会答弁を受けた日中関係悪化について日本経済に「悪い影響を与える」と回答したのは「どちらかといえば」を合わせ約6割に上った。一方で、答弁自体は「不用意だったとは思わない」が57.0%と、「不用意だったと思う」37.6%を上回った。

日経調査によると、優先的に取り組んでほしい政策課題について、最多の50%が「物価対策」と答えた。外交・安全保障、年金、経済成長との回答も多かった。

連立枠組み

高い内閣支持率に支えられているものの、高市首相が年明けの通常国会冒頭で衆院解散に踏み切る可能性は低い。

首相は17日の記者会見で衆院解散について「考える暇はない」と発言。側近とされる自民党の古屋圭司選対委員長も21日、「通常国会で思い入れの強い政策で成果を上げ、国民から評価され、最も良いタイミングで打って出るだろう」と述べたと、共同通信が報じた。

高市早苗首相

政権の枠組みの在り方も焦点だ。自民、日本維新の会の連立与党は衆院(定数465)では11月下旬に無所属議員3人が新たに自民会派に加わったことで計233議席とぎりぎりで過半数を確保したが、参院(定数248)では計119議席となお6議席足りない状況だ。

こうした中、19日に取りまとめた与党税制大綱には所得税が発生する「年収の壁」の178万円までの引き上げを盛り込んだ。実現を求めてきた国民は来年度予算案の早期成立に協力することでも合意。玉木雄一郎代表は、今後の政権与党との連携について「新たな展開に入っていく」と発言した。

国民民主の姿勢について立憲民主党の野田佳彦代表は19日、「来年の予算の早期成立まで合意するということは、いくらなんでも完全与党ではないか」とけん制。これに対し、玉木氏は22日、TBSの番組に出演し、「まだ予算案ができていないので賛成も反対もない。しっかり吟味していきたい」と反論した。

政府は26日には来年度予算案を閣議決定し、年明けに開会する通常国会に提出する。「強い経済」を目指す「責任ある積極財政」を掲げながら、市場からの信認を確保できるかが焦点だ。

来年は自民、維新の連立与党が進めている、安全保障関連3文書の改定や防衛装備品の輸出を非戦闘目的の「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限定する現行ルールの撤廃に向けた議論も本格化する。

(国民民主党の玉木代表の発言を追加し、更新しました)

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