2026年の米国株式市場は、人工知能(AI)ブームに乗り遅れることへの不安と、AIバブル崩壊への警戒感の間で投資家心理が揺れ動き、当面は神経質な展開が続くとみられる。

過去18カ月にわたり、米株市場では大幅な売りと急反発が繰り返されてきた。こうした傾向は来年も続く可能性が高く、過去の技術革新と同様に、AIをめぐって過熱と調整を繰り返す展開になると予想するストラテジストもいる。

AI投資ブームの中心にあるテクノロジー企業は、市場に対して過大とも言える影響力を持つ。2025年は、こうした企業群とS&P500種株価指数のその他の銘柄との乖離が拡大し、ハイテク株の上昇が他セクターの下落を相殺する形となった。それが市場全体の実現ボラティリティーを抑える要因となってきた。

もっとも、足元で投資家は半導体関連銘柄のつまずきが波及する事態に警戒を強めている。その場合、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)などは急上昇する可能性がある。

UBSグループのデリバティブストラテジスト、キアラン・ダイアモンド氏は「2025年は総じて、広範なリスクオン・リスクオフ相場というより、物色のローテーションが進み、相場を牽引する銘柄が限定される年だった」と指摘した。その結果として「個別銘柄同士の連動性は過去最低水準まで低下した。逆に言えば、マクロ要因が再び相場を主導する局面では、VIXが大きく跳ね上がりやすい状況にある」と述べた。

拮抗する2つの圧力

バンク・オブ・アメリカ(BofA)による最近の調査では、バブル化への不安がファンドマネジャーの最大の懸念になっていることが明らかになった。一方、相場上昇に「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」もある。

ストラテジストは、資産バブルは膨らむほど不安定になりやすいことから、2026年は株式市場でボラティリティーが高まりやすいとみている。10%を超える下落が時折起きる一方で、バブルがまだ崩壊していないと市場が認識するたびに急反発が起きる可能性があるという。

UBSグループの米株式デリバティブ調査責任者、マクスウェル・グリナコフ氏は、テクノロジー銘柄比率の高いナスダック100指数に連動したボラティリティー取引について、上昇・下落いずれの局面でも相対的に良好なパフォーマンスを示すと予想する。

同氏は、ナスダック100指数で値動きの拡大から利益を得るポジションを取り、S&P500種指数ではその逆の取引を行う戦略が「来年に向けて最も確信度の高い戦略だ」と語った。

ただ、急変動局面の合間には、落ち着いた状態が比較的長く続く可能性もある。JPモルガン・チェースのストラテジストは相場のボラティリティーについて、テクニカル・需給面の抑制要因と、マクロ要因による押し上げ圧力が拮抗していると指摘。2026年のVIXは中央値が16-17程度にとどまる一方、リスクオフ局面では急上昇するとみている。

原題:FOMO Versus Bubble Angst Signals More Stock Volatility in 2026(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2025 Bloomberg L.P.