(ブルームバーグ):日本生命保険の朝日智司社長はブルームバーグとのインタビューで、日本銀行の次の利上げは2026年度後半ごろになりそうだとの見通しを示した。金利上昇を踏まえ、含み損を抱えた国債の入れ替えや保険商品の競争力向上など対応を強化する。
日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%程度から0.75%程度に引き上げることを決定した。1月以来の利上げで、1995年以来の高水準となる。日本生命は約83兆円の資金を運用する大手機関投資家。日銀の金融政策の動向は日生を含めた機関投資家の運用戦略に影響を与える。市場では次の利上げ時期を見極めようと関心が集まっている。
朝日社長は追加利上げの時期について「物価や経済動向に応じて利上げのタイミングを慎重に見極めていくだろう」と述べた。その上で、来年度の「後ろの方」に行われるとの想定を示した。
日本生命では今年、一時払い終身保険など一部商品の予定利率を引き上げた。新規の保険契約者にとっては魅力が高まることになる。さらなる引き上げについては「金利の情勢を見極めながら、もう一段あるかについては考えていく」と述べた。
一方、保有する国債の含み損は9月末時点で4兆6887億円に膨らんでいる。低利回りの国債を売却し、より利回りの高い国債への入れ替えを「少しペースアップして行っている」という。含み損を抱えたままでは「資産運用のリスク管理の中では健全とは言えないところもある」と述べた。減損損失の計上を「どういう形で回避していくのかも大事だ」と語った。
インド市場
インド議会は17日、外資による保険会社への出資比率の上限を現行の74%から撤廃する法案を承認した。日本企業がインド企業を完全子会社化することが可能になる。
日本生命では2011年に現地の生命保険会社に出資し、同市場に本格進出した。19年には資産運用会社を子会社化し、現地で投資信託などを販売している。現在の出資比率は現地生保で49%、資産運用会社で72.1%となっている。
朝日社長は「インドの経済成長は非常に急角度だ。成長の取り込みはとても意義がある」と指摘した。ただ、出資比率引き上げの議論を急ぐのではなく「まずは持ち分相応の支援、協力をしていかなくてはいけない」と述べた。
長期的な海外での買収先候補の「ロングリスト」としては「保険事業を中心」にみていると述べた。日本生命は米系生保のレゾリューションライフの買収を10月に完了しており、まずは買収先の「安定化が一番大きな話」と語った。
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