(ブルームバーグ):トランプ米大統領は19日、ノースカロライナ州での集会で、犯罪対策や景気の先行き不透明感払拭に向けた自身の取り組みを強調した。一方、性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米実業家ジェフリー・エプスタイン氏を巡る新たな資料公開については言及を避けた。
ノースカロライナ州東部のロッキーマウント・イベントセンターに集まった数百人を前に、トランプ氏は支持層の関心が高い犯罪問題や消費者物価指数(CPI)統計に言及。関税を武器に有利な取引条件を引き出したと主張した。また、間もなく期限切れとなる米医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金に触れ、議会の対立により1月下旬に再び政府機関が閉鎖に追い込まれる可能性があると警告した。

トランプ氏は「また閉鎖が起きるかもしれない。民主党が保険会社という裕福な大企業の手中にあり、完全に支配されているからだ」と述べた。
集会中、エプスタイン氏の資料公開には触れなかった。トランプ氏は当初、公開に抵抗したが、共和党内からの圧力に屈し最終的に容認していた。
発言の背景には、支持率低下の中で経済運営への懸念を和らげ、フロリダ州での休暇を前に主導権を握る狙いがある。会場では「価格下落」「賃上げ」と記されたプラカードが掲げられ、政権の経済メッセージが強調された。
トランプ氏は同日発表した製薬大手9社との薬価引き下げ合意を成果に挙げ、「これだけで中間選挙に勝てる」と自賛した。ただ、政権が交渉の成果と主張する医薬品の多くは、既に割引価格で流通している。
2024年の大統領選挙では、生活コスト抑制を掲げて勝利したが、現在は物価高が来年の中間選挙に向けた共和党の弱点となっている。民主党はトランプ氏の関税政策や医療補助金も打ち切りが家計を圧迫しているとの批判を強めている。
原題:Trump Touts Economic Record, Avoids Epstein Files in Rally(抜粋)
--取材協力:Josh Wingrove、John Harney.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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