(ブルームバーグ):中銀預金金利を2%に据え置くと決めた欧州中央銀行(ECB)の政策委員会会合から一夜明け、政策決定者からは19日、金利の今後の動向について慎重な発言が相次いだ。インフレリスクを注視する中で、当面は現状を維持することに問題はないと考えているようだ。
今回の会合前、タカ派のシュナーベル理事がブルームバーグの取材に対し「次の動きが利上げになるという見方に問題はない」と発言し、市場を驚かせた。政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は19日、シュナーベル氏と意見が一致するか問われ、「必ずしもそうとは限らない」としている。
同氏はフィンランド紙カウッパレーティに「地政学的緊張や貿易戦争の見通しから、現在経済には多くの不確実性が存在する。だからこそ私たちは、現時点でフォワードガイダンスを与えたり、いかなる利上げ経路にもコミットしたりはしない」と語った。
米国との関税を巡る合意後も、欧州には不確実性が残っている。ECBの新たな予測では、今後3年間のインフレ率は2%前後で推移すると示唆されているが、政府支出の増加、ユーロ高、ウクライナ情勢の安定化など、物価を急変させる要因が引き続き存在する。

ECBの政策当局者は非公式に、最新の物価見通しと予想外に堅調な経済を根拠として、利下げサイクルはおそらく終了したとの見通しを示した。
ミュラー・エストニア中銀総裁は、エストニアのラジオ番組で「6カ月後、またはそれ以降に何が起こるかを問われれば、率直に言って推測するのは時期尚早だ」と語った。また、「どちらの方向にもシナリオは考えられる。ユーロ圏の経済が思うように伸びず、インフレがさらに鈍化した場合、金利をさらに引き下げる理由があるかもしれない。しかし、その逆も考えられる」と述べた。
一方、ビルロワドガロー・フランス銀行(中銀)総裁は、フランス紙フィガロとのインタビューで「インフレには両方向のリスクがあるが、特に下方リスクが大きい。したがって、今後の会合では必要に応じて機敏に対応していくつもりだ」と強調した。
カザークス・ラトビア中銀総裁は「一般的に言えば、ユーロ圏のインフレ率は引き続き2%前後で推移する見通しのため、中央銀行はその役目を果たしており、私たちは来年も良好な状況からスタートできるだろう」と語った。
原題:ECB Officials Wary on Direction of Next Interest-Rate Move、ECB Will Be as Agile as Needed at Coming Meetings, Villeroy Says、ECB’s Muller Says Too Early to Say Where Rates May Go Next(抜粋)
--取材協力:Aaron Eglitis、Alexander Weber.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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