(ブルームバーグ):個人向け国債の販売が活況だ。今年の販売額は5兆円を超え、2007年以来の高水準となった。日本銀行の利上げを背景に金利が上昇する中、これまで銀行預金などに滞留していた家計マネーが国債へと流れ始めている。
財務省の集計によると、25年1月から12月までの個人向け国債の販売額は5兆2803億円だった。3つの商品のうち、固定5年は2兆4286億円と24年の9995億円から大幅に増加。11月発行分の利率が1.22%と1年前の約2.7倍になるなど金利面の魅力もあり、人気を集めた。変動10年の販売額は1兆9391億円だった。
日銀が大規模緩和の下で続けてきた国債の大量購入を縮小する中、国債市場で個人投資家の存在感がじわり高まってきた。金融政策の正常化に伴う金利上昇で利率の魅力が増し、元本割れのリスクが極めて低いなど安全性の高さからも、個人向け国債への関心が広がっている。
岡山県の主婦、高畑恭子さん(37)は、昨年10月に預金を引き出し、地銀窓口で10年変動の個人向け国債を購入した。「金利が預金より高く最低保証もあり、変動であれば今後金利が上昇するだろう」と考えたという。「インフレには負ける」と感じる半面、株式投資は「大きく損することがある」と思い、10年後に必要になる教育資金や将来の老後資金を無理なく増やすにはちょうどいいと判断した。
現在募集中の26年1月発行予定の個人向け国債は、固定3年が1.1%、固定5年が1.35%、変動10年が1.23%の利率に設定されている。固定5年の利率は07年以来の高水準で、変動10年は03年の発行開始以降の最高利率となる。
販売額は個人投資家からの応募額によって決まる。
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