米高級百貨店ブルーミングデールズは、ユダヤ教の祝祭「ハヌカ」をテーマにしたパジャマが入ったパッケージに「パレスチナに自由を」と書かれた紙片を入れた従業員を解雇した。同社に近い関係者1人が明らかにした。

この商品を受け取った顧客がパッケージの中に手書きメッセージを見つけ、16日にソーシャルメディアに投稿した。公に話す権限がないとして匿名を条件に語った同関係者によると、米百貨店大手メーシーズ傘下のブルーミングデールズは、この件について調査するため物流センターの一部業務を一時停止した。同センターは現在、業務を再開しているという。

メーシーズの広報担当者は文書で、「反ユダヤ主義やいかなる種類の差別も当社の事業において一切容認されない」とした上で、「このような行為は許可されたものではなく、容認しがたいものであり、当社の規定に明確に違反している」と説明した。

イスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃後、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで報復行動を開始してから2年余りが経過したが、今回の件は中東情勢を巡る緊張が引き続き世界各地に波紋を広げていることを示している。

この紛争は、ニューヨークやロンドン、シドニーなどで親パレスチナ派の抗議活動を引き起こし、米マイクロソフトや米マクドナルドといった企業の経営陣や、ハーバード大学やコロンビア大学などの教育機関も対応を迫られている。言論の自由や、企業が従業員や顧客に対して果たすべき責任を巡る議論にも発展している。

ブルーミングデールズの件は、アリエル・ハリスさんという女性が動画投稿アプリ「TikTok」に投稿したことで明るみに出た。ハリスさんによると、ユダヤ教やユダヤ民族の象徴である「ダビデの星」があしらわれたジャージー素材のパジャマを交際相手から贈られたという。この商品は、ルームウエアブランド「ピー・ジェイ・サルベージ(P.J. Salvage)」が製造したもので、ブルーミングデールズで81.20ドル(約1万2600円)のセール価格で販売されていた。

ハリスさんは投稿で、プレゼントを開封したところ、レシートの上に置かれたブルーミングデールズの販売タグの裏側に「パレスチナに自由を」と書かれていたと説明。ハリスさんは「ボーイフレンドはプレゼントを渡す前に箱を一度も開けていなかった」とし、「こんなことは絶対にあってはならないし、ブルーミングデールズは従業員の行動について説明責任を果たす必要がある」と訴えた。

ハリスさんにコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

原題:Bloomingdale’s Fires Worker Over Palestine Note in Pajamas (1)(抜粋)

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